ずるいスクワット

ずるいトレーニング

こんにちは、鹿野一郎です。
これまでに「ずるいベンチプレス」「ずるいデッドリフト」という投稿をしてきたので、今回は「ずるいスクワット」というタイトルで何か書いてみようと思います。
でもこれは書く前からわかりますが、タイトルにかなり無理があります。
ベンチプレスやデッドリフトに比べると、スクワットはインチキをして重たいバーベルを挙げるということがほとんど出来ないからです。
スクワットと言ったら、バーベルを担いでやるスクワットですよね。
スクワットの数値を聞かれて、マシーンでの数値を答える人はいないと思います。
いくらなんでもそれはずるすぎると思います。

1 しゃがみの深さ

スクワットのフォームで一番問題になるのは、しゃがみの深さでしょう。
スクワットの時にどこまでしゃがめば良いのか?
これは意外と知らない人が多いです。
でも、5年前、10年前に比べると最近はジムでもちゃんとしゃがんだスクワットをしている人が多くなったような気がします。
これはYouTubeの影響だと思います。
筋トレ系のYouTubeを見ている人は、そこでスクワットのしゃがみの深さを学ぶのでしょう。

パワーリフティングの試合では、しゃがんだ時に膝関節よりも股関節の方が低くなり、大腿部が明確な下り勾配になることが求められます。
やったことがない人は是非しゃがんで試してもらいたいと思いますが、これは結構な深さです。
しゃがみの深さについて、「パラレル」という表現を使うことがありますが、これは大腿部が床と水平になるまでしゃがむ事を表しています。
そしてユーチューバーの人々がスクワットの最大筋力を測るときは、このパラレルまでしゃがめていればOKと判断している人が多いようです。
パワーリフティングのルールでは、パラレルはアウトなんですが、ボディービルやフィジークをやっている人は、何の競技もやっていない人からすれば、パワーリフティングのルールに合わせる必要もないと思います。
そして、世間ではパラレルが一つの基準になっているように感じます。
パラレルまでしゃがんでいれば、ちゃんとしたスクワットで、もっと浅ければずるいスクワットという事です。

2 ハーフスクワット

僕がスクワットを真面目にやるようになったのは、35歳ぐらいのときだったと思います。
このとき僕は原因不明の左腕の筋力ダウンで、ベンチプレスが全く出来なくなってしまいまいた。
初めは筋力ダウンだけでしたが、だんだん腕から首筋まで痛みが走るようになり、ベンチプレスはシャフトだけでやっても、左が上がらず、シャフトが傾いた状態になっていました。この頃の最大筋力は、なんと60kgでした。
この原因不明の怪我をするまでは120kgを挙げていたのに、60kgまでパワーダウンしてしまいました。
この怪我の原因は今でもわからないままですが、およそ2年間ベンチプレスから遠ざかる事になりました。
そして2年が経過したら自然に治っていました。
当時の僕にとって、トレーニングと言ったらベンチプレスのことでした。
そのベンチプレスができなくなったので、絶望的な気分になりましたが、気を紛らわせるために、代わりにスクワットをするようになったんです。
それまでバーベルを担いでのスクワットなんてやったことがなかったので、記録はどんどん伸びました。
初めは120kgのバーベルがとても重いと感じていましたが、やがて120kgはウォーミングアップの重さになり、140kg、160kgと記録は伸びていきました。
初めて170kgを挙げたときの事は今でもはっきり覚えています。
友達と二人でスクワットをしていて、僕は120kgのバーベルをセットしてスクワットを始めました。
何回も挙げるつもりでいましたが、しゃがんでみるとバーベルが恐ろしく重くて、そのまま潰れそうになりました。
でも、その当時の僕はスクワットで潰れたことがまだありませんでした。
潰れたことがない人にとって、スクワットで潰れるというのはかなり怖いことだと思います。
当時の僕はとても怖かったです。
なので、僕は何がなんでも立ち上がろうと、全身の力を込めて、大きな唸り声を上げて立ち上がりました。
バーベルをラックに戻した後、なんで120kgがこんなに重いんだ?今日はよほど調子が悪いらしいと思いました。
友達はもっと軽い、60kgぐらいのバーベルでスクワットをするので、プレートを取り外そうとしましたが、その時になって大きな間違いをしていた事に気づきました。120kgだと思っていたバーベルは170kgだったんです。
一体どういう間違いだったんでしょうか?
120kgのバーベルを組むならば、片側に20kgを2枚、10kgを1枚つければ良いです。
170kgだったら、片側に20kgを3枚、15kgを1枚つける事になります。
どうしてこんな間違いが起こったのかはわかりませんが、この間違いのおかげで僕は自己ベストを更新しました。
最初から170kgだと知っていたら怖くて挑戦しなかった事は間違い無いです。

その後、180kgのバーベルも挙げられるようになりましたが、この辺から伸びが鈍ってきました。
それまでのように数値が伸びなくなったので、無理にでも数値を伸ばそうと思って、次第にしゃがみが浅くなって行きました。
しゃがみが浅くなれば、扱える重量は再び伸び始めます。
そして200kg、220kgと順調に増えていきました。
これは完全にずるいスクワットでした。

3 老師のアドバイス

ある日、220kgのバーベルを担いでスクワットをしていたら、一人の老人が近寄ってきて、アドバイスをしてくれました。
それではしゃがみが浅くてダメだというのです。
そこで僕が教わったのは、上でも書いた、股関節が膝関節よりも低くなって、大腿部が明確な下り勾配にならなければダメだという事でした。
バーベルをもっと軽くしてしっかりしゃがんでやってみるように言われ、やってみると、せいぜい140kgでしかしっかりしゃがめないことがわかりました。
これは大きな驚きでした。
スクワットに明確なしゃがみ方の基準があるなんて知らなかったし、その基準がかなり厳しいものだったからです。

しっかりとしゃがむスクワットを140kgからやり直し、180kgでもちゃんとできるようになったとき、老師からパワーリフティングの試合に出ないかと誘われました。今から17年も前の話です。
僕はそのとき、初めてパワーリフティングという競技を知りました。
その当時の僕は空手をやっていて、空手の試合に年に3回か4回ぐらい出てい他ので、パワーリフティングの試合というのはいつかは出てみたいと思いましたが、いますぐに出たいとは思いませんでした。
パワーリフティングの試合に初めて出たのは2016年の事で、老子に誘われてから12年が経過していました。
驚く事に、試合会場で久しぶりに老子と再会できました。
高齢なのにいまだに現役である事に驚き、とても元気そうであることが嬉しかったです。

4 ニースリーブはずるく無い?

パワーリフティングの試合に出る多くの人は、スクワットの時に、ニースリーブというギアを膝にはめます。
僕ははめた事はないですが、強烈な締め付けで、膝が曲がりにくくなるようです。
曲げようとしても膝が真っ直ぐに伸びてしまうので、スクワットでしゃがんだ時には大きなアシストを受けられる事になるようです。
ニースリーブをつけると記録が10kg伸びるという人もいます。
ボトムでの切り返しがとても楽だという人もいます。
記録は伸びないけどトレーニングのボリュームは稼げるという人もいます。
こういう話を聞くと、一度試してみたいと思いますが、装着がかなり大変で、大汗をかくとか、デッドリフトまで握力がもたないという声も聞きます。
ちょっと節名すると、パワーリフティングの試合では、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの順番で競技をします。
スクワットのときのニースリーブの脱着で握力を使いすぎると、最後のデッドリフトで握力が出ないという話です。

そこまで締め付けがきついのであれば、なくても良いかなと思います。
よく知らないんですが、試合でニースリーブをつけている人々は普段のトレーニングでもニースリーブをつけているんでしょうか?
もしそうならば、大変な手間ですよね。つけた事はないですが、ウエットスーツなら着たことがあるので、ものすごく大変なんだろうなという想像はできます。
逆に、普段まったくニースリーブをつけず、試合の時だけつけるという人はいないのでしょうか?
もし僕がニースリーブを買うような事になったら、おそらく試合の時しかつけないと思います。
普段は全く必要性を感じないからです。

ニースリーブの本来の意義は、膝の故障の予防だそうです。
膝が弱い人は、スクワットで膝を壊すのが怖いそうです。だから怪我をしにくくするために、ニースリーブをつけるんだそうです。
でも僕は膝や肘、手首はおそらくとても強いんだと思います。
スクワットやベンチプレスで膝や肘、手首を痛めたとか、痛めそうだなんて感じたことがないです。
なので、ニースリーブは必要ないんです。

初めてニースリーブを見たときは、「ずるいんじゃないか?」と思いましたが、怪我の予防のためにやっているんだったら、ずるくないですね。
僕はスクワットとデッドリフトの時はパワーベルトを巻きますが、理由は腰の怪我の予防です。
腹圧をかけると重いバーベルが挙がりやすくなると言います。
実際にベルトを巻かずにデッドリフトをすると、同じ重さでも重く感じます。
確かにベルトを巻くと記録が良くなるんだと思います。
それを誰かから、「君、ベルトを巻いてデッドリフトをするのはずるいよ!」「あんた、スクワットでベルトを巻くなんてずるいじゃん。」と言われてしまったら、さすがに僕は抗議します。「違いますよ。怪我をしたくないからベルトをしているんですよ。」と。
実際問題僕はベンチプレスをする時はベルトを締めません。
全く必要性を感じないからです。

でも試合の時はほとんどの人がベルトを巻いてベンチプレスをしています。
あれは何故なんでしょうか?
怪我の予防なんでしょうか?それともパワーアップなんでしょうか?

もし僕がニースリーブをつけて試合に出るようになったら、それは怪我の予防ではなく、記録向上を目指しての装着になります。
それは、ずるいスクワットだと思います。

今回はこんなところです。
ありがとうございました。

内部リンク「ずるいベンチプレス

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