ずるいベンチプレス

ずるいトレーニング

こんにちは、鹿野一郎です。
今日はずるいベンチプレスについて話したいと思います。
僕がパワーリフティングの試合に出るようになったのは、成田市体育館のトレーニングルームで知り合った老師に誘われたからですが、その老師はその時にこんなことを言っていました。
「ベンチプレスで140kg挙がると豪語していた人が、試合に出たら 90kgを3回連続失敗して失格になった。」と。
そんなことがあるもんなのかと思いましたが、実際にあるんですね。
それはベンチプレスのちゃんとしたやり方を知らない人やってしまう失敗だと思います。

1 ずるいベンチプレス

以前、津田沼のゴールドジムでものすごい音を立ててトレーニングをしているお兄さんを見かけました。
あれは、トレーニング初心者が見たら間違いなく怖いお兄さんだと思います。
職場の友達からもよく、フリーウエイトのエリアには、明らかに自分とは人種の違う本気の人々がいて、怖くて入っていけない、と言われます。
おそらくああいう人のことを言うんだろうと思います。
その人はベンチプレスをしていましたが、そのやり方が凄かったです。
胸の力を使って腕でバーベルを押し上げるんじゃなくて、腹の力で押し上げている感じでした。
その人はブリッジを組んでいましたが、尻はずっとベンチから離れたままで、バーベルを勢いよく腹の上に落とし、腹を思い切り押し上げることで、バーベルを跳ね上げていました。まるで腹のトランポリンの上をバーベルが跳んでいるようでした。
一体あれはどこを鍛えているんだろうかと思いましたが、とにかく豪快でした。
しかもよく見るとバーベルの握りてが広すぎて、81cmラインが丸見えになっていました。
別にその人がズルをしている訳ではないと思いますが、もしその人が「俺は何kgを何回挙げられるんだ!すごいだろ。」と言うことを友達に話しているとすれば、それはずるいベンチプレスになると思います。

2 尻はベンチから浮かさない

僕は大学に入った時からベンチプレスをしています。
もう30年以上もベンチプレスをしています。
ずっとベンチにベタっと寝る、ブリッジを組まないベンチプレスをしていました。
2005年に一回だけベンチプレス千葉県大会に出場しましたが、その時もブリッジは組みませんでした。
知らなかったからです。
試合の結果は110kgで、ビリでした。
世の中にはすごい人がたくさんいるなと思いましたが、その試合会場で初めてブリッジを見て驚きました。
最初は何をやっているのかわかりませんでした。
試合は女子の部から始まりましたが、女の人にはとても体の柔らかい人がいて、凄まじいブリッジを組んでいました。
しかも服装がレオタードだったので、なおさらびっくりしました。
あの人はベンチプレスをしに来たんじゃないのか?なんだあれは?と衝撃的な驚きがありました。

その後、ベンチプレスでは上体を反らしてブリッジを組んだ方が力が出るとか、肩甲骨を寄せて胸を開いた方が良いいうような知識を覚え、少しずつトレーニングに取り入れて行きました。
ある日、尻からベンチを浮かせばもっと挙がるようになると誰かに言われえ、試してみると本当でした。
その時以来、僕はベンチプレスでは欠かさず尻を浮かすようになりました。
自己ベストは伸びましたが、2016年にパワーリフティングの試合に出ることが決まって、尻を浮かさないフォームに戻ろうとした時に、とても苦労しました。
ベンチプレスやパワーリフティングの試合では、ベンチから尻が少しでも離れたら、その場で失敗になります。
絶対に尻は離してはいけないんです。

とはいうものの、尻を話すフォームが身についてしまっていたので、バーベルが重くて最後の踏ん張りをするときは、どうしても尻が浮いてしまいました。
どんな状況でも尻が浮かなくなるまでに随分と時間がかかった気がします。

世間ではベンチプレスはとても人気のメニューで、「ベンチプレスMAX何kgですか?」と、職場やジムで人から聞かれることはしょっちゅうです。
この時になんと答えるかは難しいですよね。
尻を浮かせば100kg挙がるけど、尻を浮かさなかったら90kgしか挙がらないという場合、100kgと答えるのでしょうか、90kgと答えるのでしょうか?
それは人によると思いますが、尻を浮かすのは本当は良くないと知っていながら100kgと答えたら、それはずるいベンチプレスになってしまうと思います。

3 かかとも浮かさない

僕は苦労して尻を浮かさないフォームを取り戻しました。
が、今度はかかとが浮くよになってしまいました。
重いバーベルを上げる時、尻をあげて踏ん張れないので、代わりにかかとを浮かせて爪先で強烈に床を押し込み、踏ん張るようになってしまったんです。
これを直すのにも苦労しました。
ベンチの高さが高すぎるのが良くないのかも知れないと思い、足の下に踏み台を置いてやったりもしましたが、なかなかうまくいかず、結局根本的にフォームを直すしかなかったです。
どのくらいの時間がかかったか覚えていませんが、かなりかかったと思います。
普段から正しいフォームでやっていないと、矯正するのは難しいと思いました。

4 胸でバウンドさせない

インターネットでベンチプレスの動画を見ていると、胸でバーベルシャフトをバウンドさせてベンチプレスをする人をたまに見かけます。
以前は僕もやっていました。
でもこれは、バウンドによるアシストを受けている訳で、一番大切な位置で自力で挙げていないことになるので、トレーニングの効果は大きく損なわれます。
なのでやらない方が良いと思います。
ベンチプレスの目的が大胸筋の発達であっても、ベンチプレスの数値の向上であっても、バウンドはさせない方が良いと思います。
でも、バウンドを使うと回数が多くできるので、とても気分が良いのは良くわかります。
僕も以前はそれをやっていました。
ベンチプレスの目的が良い気分を味わうことにあるならば、バウンドも良いと思います。
僕自身がかつてそうだったから、本当にそう思います。
でも、パワーリフティングの試合に出ることに決めてから大変な苦労があったので、もし試合に出る可能性が少しでもあるならば、早めに矯正した方が良いと思います。
もし誰かが胸でバウンドさせるベンチプレスをしていて、友達や職場の同僚に、「俺はベンチプレスで何kgを何回挙げられるんだぜ!すごいだろ!」と自慢していたら、それはずるいベンチプレスになってしまうと思います。

筑波山です。本文とは関係ありません。

5 手幅にも制限があります

ベンチプレスをする時、とにかく重いバーベルを挙げようと思ったら、手幅は広い方が有利です。
手幅を広くすると、なんと言ってもバーベルの上下動の幅が狭くなるからです。
でも、パワーリフティングやベンチプレスの試合では、この手幅についても制限があります。
50mm規格の220cm、20kgのオリンピックシャフトと呼ばれるシャフトには、81cmラインという線が刻まれています。
二つの線の間の幅が81cmなんですが、シャフトを握った時に、この81cmラインが完全に見えなくなるか、手の小指より外側に81cmラインが見えていることが手幅の制限になります。
手幅がどんなんに狭くても問題はないんですが、手幅が広すぎて、人差し指より内側に81cmラインが見えたら、そこで失敗になります。
なので広すぎる手幅はアウトなんです。
トレーニングをする上で、パワーアップやバルクアップを目指すのは当然ですが、怪我をしないことに配慮することも重要です。
僕は詳しくはないですが、あまり手幅を広くしすぎると、肩を故障しやすくなるとどこかで聞いたような気がします。
確か、筋肉系ユーチューバーのSho FitnessのShoさんが言っていたような気がします。
ベンチプレスをするときは、手幅にも注意をした方が良いみたいですね。

6 その他

ベンチプレスで何kg挙げられるか?
誰かがこの話をしているとき、僕は必ずバーベルなのかマシーンなのかを確認します。
たまにマシーンで80kg挙げられる人が、ベンチプレスのMAXが80kgだと言っていることがあるからです。
僕も昔はマシーンでベンチプレスをしていたから良くわかるんですが、マシーンでc MAX80kgの人は大抵バーベルでは80kgは挙がりません。
マシーンと違って、慣れていない人にとってバーベルでのベンチプレスは不安定で危なっかしいものです。
なので、ベンチプレスのMAXを友達に自慢したい人は、最低限、マシーンではなく、バーベルでベンチプレスをした方が良いと思います。

マシーンにも色々あり、マシーンの付属のプレートを挙げるのではなく、マシーンにバーベルのプレートを装着して挙げるマシーンもあります。
これだとバーベルのプレートを使うので、リアルなベンチプレスに近付いたと感じる人もいるかも知れないですが、安定感の問題とてこの原理の問題で、両者は全くの別物です。
なので、ベンチプレスでMAXの自慢をしたい人は、くれぐれもマシーンではなくて、バーベルでベンチプレスをした方が良いと思います。
でないと、「バーベルで挙げたの?」と聞き返された時に、苦しい立場に追い込まれてしまいます。

スミスマシーンでベンチプレスをする人もいると思います。
あれは本物のバーベルに比べると、決まった軌道しか動かないので、安心感があります。
でも、あれも本物のバーベルとは別物なので、職場の仲間にベンチプレスのMAXを自慢したい場合は、スミスマシーンではなく、バーベルでベンチプレスをした方が良いと思います。

7 結論

友達や職場の同僚とベンチプレスのMAXを比較するときは、細かく条件を話し合わないと、正確な比較はできないと思います。
バーベルでやっているのか?
尻は浮かせていないか?かかとは浮いていないか?
胸でバウンドさせていないか?握りての幅は大丈夫か?
これらを細かく詰めていかないと、本当の比較はできないと思います。

なので、どうしても職場や学校のライバルと、はっきり白黒をつけたかったら、一緒にベンチプレスの試合に出るしかないでしょう。
どうしても決着をつけたい相手がいる人は、ライバルと一緒に試合に出ましょう。

パワーリフティングの試合では、バーベルシャフトを胸に下ろした後、そこで静止させ、審判が「プレス!」と言ってからバーベルを押し上げます。
でも世間の人々がベンチプレスをする時に、そこまでする必要は全くないと思います。
もう一度言いますが、止めを入れる必要は全くないと思います。
これはあくまでも競技としてのルールであって、トレーニングの効率を考えてやっていることではないからです。

最初に紹介した老師の言葉ですが、140kg挙がると豪語していて90kgを三回連続で失敗した人というのは、ルールは知っていてもフォームの矯正が間に合わなかったんだと思います。
ルールを知らないんだったら、第1試技を90kgでやるはずはないですよね。
自己ベストが140kgの人だったら、第1試技は120kgぐらいではないでしょうか?
それを90kgから始めるということは、尻を浮かせたらいけない、バウンドを使ってもいけない、手幅にも気をつけなければならない、という事は知っていたんだと思います。でもいつもの癖が抜けなくて、尻が浮いて失格になったんだと思います。

トレーニングをするときは、しっかりとフォームにも気を遣いたいですね。
ありがとうございました。

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