最近の刑事ドラマでは犯人を殴らないですね。

その他

こんにちは、鹿野一郎です。
今朝、愛犬の散歩をしているときに何気なく、最近見たドラマを思い出していました。
「ハコヅメ〜たたかう!交番女子」(2021年 永野芽郁、戸田恵梨香)では、刑事役の山田裕貴が犯人に殴られて、「はい、こうぼうでげんたい!」という場面がありました。
おそらく「公務執行妨害で現行犯逮捕」の事だと思いますが、刑事を殴って、本当に公務執行妨害だけで済むのかな?と思いました。
もし僕が駅のホームで足を踏んだ踏まないで誰かと喧嘩し、その人を本気でぶっ飛ばしたら、おそらく傷害罪など収監されるんじゃないかと思います。
警察官を殴って公務執行妨害だけというのは、相当に軽い罰だなと思いながら歩いていました。
そう考えると、警察官は殴られ損だなとも思いました。

そして、ふと思ったんですよ。
最近、刑事ドラマでは刑事が犯人を殴らないな、と。
僕はドラマはよく見る方ですが、最近見た刑事ドラマだと「MIU404」(2020年 星野源、綾野剛)、「メゾン・ド・ポリス」(2019年 高畑充希)、少し前だと「BOSS」(2009年 天海祐希、竹野内豊)などを覚えています。
でお、おそらく刑事が犯人を殴るシーンはないと思います。

僕は小学生、中学生の頃、学校から帰ると、夕方4時から「太陽にほえろ!」(1972年から1986年 石原裕次郎他多数出演)の再放送を見ていました。
あのドラマでは、犯人逮捕の場面では必ず殴り合いになりましたよね。
大人しく逮捕される犯人は1人もいなくて、全員最後の最後まで抵抗し、刑事にぼこぼこにやられて、手錠をかけられた段階で初めて観念していました。
子供の頃、「太陽にほえろ!」を見て、刑事は大変だなと思っていました。
あんな風に毎日喧嘩して、勝たなければならないとは、かなりしんどい仕事だと思っていました。

「西部警察」(1979年から1984年 渡哲也他多数出演)はもっと凄かったですよね。
毎週犯人と撃ち合いをしていましたからね。
渡哲也演じる大門課長は街中で毎回スコープ付きのショットガンをぶっぱなしていましたよね。
毎回最後は激しい銃撃戦になりました。

考えてみると、最近の刑事ドラマは殴るシーンがないだけでなく、撃ち合いのシーンもないようは気がしますね。
それだけ時代が変わったという事なんでしょう。

NHK大河ドラマ「獅子の時代」

僕が中学1年生だった年、NHKの大河ドラマは「獅子の時代」でした。
1980年の放送で、主演は菅原文太と加藤剛でした。
他に大原麗子、大竹しのぶ、丹波哲郎などが出演していました。
幕末の日本を描いたドラマで、パリの万国博覧会から明治維新を経て、秩父事変までを描いたドラマでした。
僕はそれまでは子供向けの番組ばかり見ていましたが、「獅子の時代」を見るようになって、子供向けの番組を卒業しました。
それまで見ていた子供向けの番組とは、「8時だヨ!全員集合」(1969年から1985年)、西遊記(1978年から1980年 堺正章、夏目雅子)などでした。

獅子の時代はとても好きなので、DVDを全巻持っています。
最近、久し振りに見てみたら、衝撃的でした。
昔は普通に見ていたドラマがものすごく暴力的に思えたからです。

主要な登場人物である「もん」(大原麗子)が過去を回想する場面では、もんの父上が切腹をします。
もんには頼りない弟がいて、その弟が父上の切腹の準備を手伝います。
白装束に着替え終わり、切腹のためのさまざまな儀式も終えた頃、母上が驚いて部屋に飛び込んできます。
そして次のようなことを言います。
「なぜこんなにすっかり支度をしてしまうまで、何も話して下さらなかったのですか?」
記憶を頼りに書いているので、細かい言葉遣いは違うかも知れませんが、こういう感じのセリフでした。
父上の説明によると、誰かが殿様に自分の悪口を吹き込んで、自分はすっかり疑われてしまっている。
疑いを晴らすために潔く死ぬのだと説明します。
母上は誤解を解くために殿様に直談判するべきではないですかと助言しますが、武士としてそれはできないと言い張り、切腹する意志を曲げません。
問答の末、母上ともんは説得を諦め、肩を寄せ合って顔を伏せて泣きます。
その後ろで、父上が短刀を構え、「さらばじゃ!」と言って、腹に刀を突き刺します。
そして腹を横に切ったところで、臆病な弟が後から大刀で介錯をします。

昔のドラマなので、この場面で画面には一滴の血も写らないし、腹に刀を指す場面も、刺さる腹部は写っていません。
後ろから刀を振り下ろして父上の首を跳ねるんですが、その場面は刀を振り下ろすところしか写っていません。
つまり、ショッキングな映像は全くないんですが、脚本、演出、役者さんたちの演技力により、手に汗握るすごい場面になっていました。
「武士が切腹をするというのはこういう事なのか!」と思い知らされた感じがしました。
最近のドラマではなかなか見ない緊迫した場面でした。

もう一つあります。
幕末の戊辰戦争の、鶴ヶ城決戦の場面です。
ドラマには白虎隊も出てきますが、戦いに参加する前に飢えで耐えられなくなり、切腹をしたり、お互いに刺し合って死んだりする少年たちの姿が多数出てきます。
もちろん一滴の血も写らないんですが、かなり悲惨な場面です。
そして、戦争が終わった後は、野原に武士の死体が無数に転がっています。
カメラがどんどん前方へ移動して行くんですが、どこまで行っても死体だらけです。

子供の頃は特に何も感じずに普通に見ていたんですが、40年の時を経て今見ると、かなり強烈なインパクトがあります。
もしかしたら「太陽にほえろ!」「西部警察」も今見たら、ものすごく暴力的なドラマに見えるのでしょうか?
そういえば、どちらのドラマでも、取り調べの時は当たり前のように容疑者を殴っていましたよね。
今だったら放送できないドラマかも知れないです。

「獅子の時代」が放送されていた頃、A君とB君が喧嘩をして、B君がA君に殴られたら、もちろん悪いのはA君ですが、でももしB君が執拗に挑発し、その結果A君が殴ったなら、悪いのはB君だという価値観が主流だったと思います。
学校の先生もそのように指導していたし、「獅子の時代」でも、そうでした。
菅原文太演じる主人公が、態度の悪い役人を短刀で軽く切りつけて怪我を負わせ、逮捕される場面があります。
登場人物はその知らせを聞いて皆驚き、何故そんな事をしたのかという話になります。
そして、役人が散々挑発して、我慢の限界を超えたとわかると、「じゃあ、すぐに釈放ですね。」というセリフが出てきます。

1980年当時の価値観だったらそうだったと思いますが、今は違いますよね。
いかなる理由があっても、手を出した方が悪いというのが今の価値観です。
どんなに汚い言葉で罵られ、家族までけなされて、ひどい侮辱を受けたとしても、殴ってしまったら、殴った方が悪いというのが今の価値観ですよね。

きっとこれもやがて変わって行くと思います。
殴るのは絶対ダメ、殴ったらいかなり理由があっても殴ったほうが悪い!
そういう価値観が浸透したため、ドラマで人を殴らなくなったんだと思います。
刑事は犯人を殴らないし、ピストルも撃たない。

最近、中学1年生の娘と一緒に映画館で「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」を見ましたが、あれはアニメだからでしょうか、映画の中では非常に激しい殴り合いのシーンがあり、爆弾も爆発し、死人も出ます。
アニメなので、殴り合い蹴り合いのスピードはジャッキー・チェンをはるかに超えていて、物凄いスピード感です。
見ていてスカッとしました。

今の時代、激しい格闘シーンはアニメの中だけなのでしょうか?

1980年代のテレビCMと女性

僕が子供だった頃、テレビCMに女性が登場すると、ほぼ100パーセントの確率で、身体の露出がありました。
強風が吹いて、衣服がめくれるとか、あり得ないアクシデントが起きて身体が露出するなど、そういう物ばかりでした。
子供ながらに、それを見て、コマーシャルはすごいなと思っていました。
ドラマでもそういうシーンは多かったですが、ドラマと違ってコマーシャルはほぼ100パーセントですからね。

その当時、一部の人が女性軽視だと言っているのは知っていましたが、子供だったし、どうしてそうなるのかわかりませんでした。
その後、きっと時代の流れと共に規制が強くなって行ったんでしょう。
いつしかそういうCMは全く見なくなりました。
そして今から思えば、あの当時のCMは女性軽視にも程があると思います。
あの頃は、あれが当たり前だったから気づかなかったのか?それとも子供だから気づかなかったのか?
どっちなのかはわかりません。

そう言えば、中学生や高校生が体育の授業を受けるときに服装が男女で違いましたね。
男子は短パンで、女子はまるでパンツみたいな紺色の履き物を履いていました。
「女子の短パンはなんであんなに短くて、体にぴったり密着しているんだろう?」と不思議に思っていました。
そう、あの頃の僕は、「ブルマー」とう名称すら知らなかったです。

そして当時は男子が短パン、女子がブルマーというのは当たり前の常識だったので、別になんとも思っていませんでした。
僕が大学生になった頃からか、ブルマーはどんどん減っていき、今では完全になくなったと思います。

今から思えば、あの格好で体育の授業をするというのは、気が狂っているのではないか!と思いますが、あの当時はそれが常識だったので、変だとは思っていませんでした。または、子供だったからなんとも思っていなかったのでしょうか。
長い時間が経過すると、世の中の常識もどんどん変わりますね。

パワーハラスメントという言葉

世の中にセクシャルハラスメントという言葉が誕生し、次にパワーハラスメントという言葉ができました。
確かに昭和の時代は、上司による部下への行き過ぎた罵倒は多々あったと思います。
「馬鹿野郎!なんでそんなつまらないミスをしたんだ?お前、頭に脳味噌は入っていないのか?どんな親に育てられたらそんなに馬鹿になるんだ?」と怒鳴る上司や先生は世の中にたくさんいました。
でも、人格攻撃などは明らかにやりすぎという事になり、パワーハラスメントという言葉が生まれました。
仕事や勉強ができなくて、人格まで否定するのは確かにやりすぎですよね。
絶対にするべきではないと思います。
でも、最近はパワーハラスメントという言葉の解釈が拡大しすぎているように思います。
例えば、上司が部下を飲みに誘っただけで、パワハラだという若者もいます。

昔に比べて暴力的な場面が減って、人々の生活環境はよくなったと思いますが、その反面、やたらと打たれ弱い人が増えたと思います。
上司に飲み会に誘われただけでパワーハラスメントだと思う人は、相当に打たれ弱いと思うんですが、大丈夫なんでしょうか?
他人のことながら、ちょっと心配になってしまいます。

そういえば、最近の自衛隊はどうなんでしょうか?
昔のアメリカの映画では、新米の兵隊がことごとく鬼軍曹にしばかれて、一人前の兵士へと育てられて行く場面が多くありました。
自衛隊には軍曹という階級はないと思いますが、新人の研修はあんな感じでかなり厳しくやるんでしょうか?

大昔の教え子で、自衛隊に入った男子がいましたが、卒業後に一度塾に遊びに来た事があって、自衛隊の話を聞かせてもらいました。
朝は6時に起きて、6時5分に廊下に整列するそうです。
走り込みや筋トレは当然のこととして、座学ではキャリパーというマシンガンの撃ち方を教わっていると話していました。
キャリパーというのは車などに固定して使うマシンガンで、人が持ち運ぶことはできないそうです。
ビルの中に敵が潜んでいる時、サーモグラフィーで敵の正確な位置を把握し、コンクリートを貫通して中の敵を撃ち殺すそうです。
話を聞いていて、ものすごく恐ろしくなったのを覚えています。



今の自衛隊はどうなんでしょうか?
パワーハラスメントと言われるのをおそれて、上官は部下に敬語でしゃべるんでしょうか?
ちょっと想像がつかないです。

今時の若者は、会社に入っても3分の1が3年以内にやめると言います。
そしてその原因は、現在の教育にあるという記事を少し前に読みました。
なかなか説得力があって、納得する記事でした。
今の学校教育は多様性を重視しています。
男は男らしく、女は女らしくというのは昔の価値観になりました。
高校の制服でも、女子がスラックスを履いて登下校する風景を見かけるようになりました。
個性は大事にされるべきで、人と違っても違うからこそ良いのだというのが今の教育の方向性だと思います。
そして、仕事に着く時は、十分に自己分析をして、やりたい事、自分にあった事を仕事に選ぶべきだと指導されるようです。

僕の時代は違いました。
会社というのは、就職したら骨を埋める覚悟で働くもので、転職前提で就職するやつなんかろくなもんじゃない!
会社に入ったら年功序列、終身雇用が当たり前で、先輩の言うことは素直に聞き、上司に口ごたえはしない。
最初はコピーとお茶汲みしかやらせてもらえないけれど、誰だってそうやって下積みを経て、徐々に責任のある仕事にシフトしてくのだ。
という感じでしょうか?
僕はサラリーマンはやったことがないので、よくわからないですが、こんな感じだったと思います。
上司と部下の飲みニケーションは日本独特の文化だったと思います。
僕は大学を出てからずっと予備校講師をしているので、サラリーマンのそういう家族的なところに、少し憧れていました。
ただ、満員電車と長時間残業と、転勤だけは勘弁して欲しいですが。

今の若者は、多少人と違っていても、「それは君の個性だよ。」とされて、違うことが理由で怒られません。
そしてやりたいことを仕事にしなさいと言われ続けます。
やりたい仕事って、そんなに簡単に見つかるもんじゃないですよね。
僕の場合は大学を卒業する前に見つかりましたが、最初からすぐに予備校講師と決めていたわけではありません。
普通は仕事をして、長く続けて行くうちにだんだん面白さがわかって来るんじゃないでしょうか?
自分の適性も長く働いているうちにだんだんわかって来るんじゃないでしょうか?
なのに、やりたいことを仕事にしなさいと言われ続けると、就職してすぐに、「自分のやりたい事と違う。」となってやめてしまうという記事でした。
読んで、なるほど!と思いました。

あまりにも自由すぎると、自分が何をしたいのかがわからなくなるんじゃないでしょうか?
例えば自由がなくて、嫌なものを強制されたならば、「俺のやりたいことはこんな事じゃない!」という怒りのエネルギーがやりたいことを見つけさせるんじゃないでしょうか?
あまりにも自由すぎて、個性が尊重されすぎる今の時代が、逆に若者を追い詰めているような気がしてきました。

今の若い人には全く実感の湧かない話だと思いますが、バブル景気(1985年頃から1991年頃まで)の頃は、日本企業は世界最強でした。
ソニーがアメリカのワーナーブラザーズを買収したときは胸がすくような思いがしました。
あの当時、アメリカの著名人が「アメリカは戦争で日本に勝ったが、経済戦争で日本に敗れた。」と言っていたのが強く印象に残っています。
あの頃の日本企業の新人研修は凄かったと言います。
漫画で読んだ話ですが、新人を自衛隊に送り込んで、戦車と一緒に走らせたり、大声で「勝つぞ!死ぬまで働くぞ!」と連呼させられたり、凄まじかったそうです。(実際に友達でそういう研修を受けた人はいませんが)
あの頃は、会社に就職したら、定年まで働くのが当たり前だったし、上司への不満は同期の飲み会で晴らすのが常識でした。
そういう規定路線というのが今はなくて、「好きなようにしなさい。」と言われ続けるのは、ちょっと気の毒のような気もします。

いずれ、大きな揺り戻しが来て、鬼軍曹が持てはやされる時代が来るかも知れないです。

終わりに

僕は今年で55歳になります。
僕が生まれたのは1967年で、明治元年から数えると、101年後です。
自分が生まれるたった101年前が明治元年だと知ったときは驚愕しました。
そして僕が生まれてからもうすぐ55年が経過します。
世の中は劇的に変わり、人々の生活も劇的に変わりました。
テレビドラマも変わり、何もかも変わりました。

これから先はどうなっていくんでしょうね?
まるで予想がつかないです。
少しでも若い人が生きやすい世の中になると良いと思います。

今回はこんなところです。
ありがとうございました。

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