減量するなら筋トレをして基礎代謝を高めよ!に異議あり

減量

こんにちは、鹿野一郎です。
今回はまた減量の話を書きたいと思います。
減量をするならば、食事管理が何より重要です。
食事管理がしっかりできていれば、全く運動をしなくても体重は減ります。
筋肉ムキムキの体にしたいのであれば、食事管理をするだけでなく、ウエイトトレーニングも真剣にやらなければなりませんが、マッチョになりたい訳ではなく、単に痩せたいだけの人は、食事管理だけで十分です。
別にランニングや水泳をする必要はないし、ましてやウエイトトレーニングをする必要はありません。

1 世にはびこる怪しい仮説

でも世の中には、「筋トレをして基礎代謝を増やせば、痩せやすい体になる。」という仮説、アドバイスが横行していて、これを信じている人もたくさんいます。
これは酷い誤解だと思います。
あまりにも酷い誤解です。
確かに筋トレをして筋肉量を増やせば、基礎代謝はちょっとは増えます。
結果として、ちょっと太りにくい体になります。
でもこれは、努力に対して結果がとても少ない、割りに合わない取引だと思います。

2 基礎代謝とは

それを説明する前に、基礎代謝について説明したいと思います。
世間にはこの言葉の意味を勘違いしている人が多いんです。
基礎代謝というのは、その人が何も活動せずに寝たきりでいたとしても、体重を維持するために摂取しなければならないエネルギーのことを言います。
例えば基礎代謝が2000kcalの人がいて、寝たきりの生活をしていたとします。
この人が毎日2000kcalのエネルギーを食事で取っていれば、体重は増えもせず、減りもしません。
もしこの人が毎日2500kcalのエネルギーを取っていれば、体重は徐々に増えていきます。
逆にこの人が毎日1500kcalのエネルギーを取っていれば、体重は減っていきます。
基礎代謝というのは、寝たきりの状態で体重を維持するためのエネルギーであって、その人の運動能力や才能を表す数値ではありません。

  基礎代謝は寝たきりで過ごした場合の維持カロリーです。

なので、体重90kgの人は当然、体重50kgの人より基礎代謝が多くなります。
でも例えば体重70kgの人が2人いたとして、1人は部屋でゲームばかりしている引きこもりで、もう1人は水泳のオリンピックチャンピオンだとしましょう。
この場合は、引きこもりのゲーマーより、チャンピオンスイマーの方が基礎代謝が大きくなります。
同じ体重でも脂肪や筋肉などの内訳が全く違うからです。
一般的に脂肪よりも筋肉の方が基礎代謝が大きいです。

減量するために基礎代謝を増やしましょうというのは、間違っていません。
引きこもりのゲーマーの基礎代謝が1800kcalで、チャンピオンスイマーの基礎代謝が2500kcalだったなら、チャンピオンの方が痩せやすいからです。

では、基礎代謝が1800kcalの人が2500kcalまで引き上げるために、どれだけのトレーニングをすれば良いのでしょうか。
これはほとんど限界への挑戦というぐらい、トレーニングを中心とする生活をしないと無理だと思います。
トレーニングの目的は減量ではなく、ボディービルだというぐらいに徹底的にやり込まないとそこまで基礎代謝は増えません。

  基礎代謝を目に見えるほど高めるのは、減量するよりずっと大変です。

基礎代謝が2500Kcalもある人というのはどういう人でしょうか。
一流のボディービルダーは減量するときでも一日3000kcalぐらいのエネルギーはとります。
これだけのエネルギーを取っても体重が減っていくので消費カロリーはもっと大きいということになります。
でもその消費カロリーは基礎代謝とは違います。
基礎代謝というのは寝たきりの状態での維持カロリーです。
人間は普通に仕事や学校に行って活動します。
さらにボディービルダーは過酷なウエイトトレーニングをして、エネルギーを消費します。
それらが全て合算されて、消費カロリーが3000kcalを超えているんです。
なので、余程大型のボディービルダーでない限り、基礎代謝は2500kcalより少ないと思います。
つまり、言いたいのは基礎代謝が2500Kcalもある人はほとんどいないという事です。
おそらく基礎代謝が2500kcalもある人は、大型の力士とかプロレスラーぐらいではないでしょうか。
減量したい人が、力士とか大型のプロレスラーの体型を目指しているとは僕には思えないのですが。

3 痩せたい男

さて、ここに1人の男がいます。
身長は170cmで体重は90kg、ウエストは95cmあるとします。
この人は肥満を自覚していて、なんとかしたいと思っています。
可能なら、体重を75kgぐらいにしたいと思っています。
では、どうしたら良いでしょうか?
それは食事管理をきちんとすることです。
少しずつ時間をかけて食事の量を減らし、食事の中身を入れ替えて行きます。
例えば、ラーメンを食べるんだったら、蕎麦を食べた方が太りにくいです。
とんかつを食べるんだったら、焼き鳥を食べた方が太りにくいです。
白米の量も、毎回4杯食べるんだったら、まず3杯に減らします。
コーヒーに砂糖やミルクを入れるんだったら、まずは砂糖をやめます。
そしてやがてはミルクもやめます。
牛乳を水代わりに飲む習慣がある人は、低脂肪乳に変えましょう。
そして無脂肪乳を経て、最後は水に変えましょう。
急に変えなくて良いです。

減量は半年程度の長期戦になるので、ゆっくり変えていけば良いです。

マヨネーズを愛している人は、まずはカロリーハーフのマヨネーズに変えましょう。
そして最後はマヨネーズとさよならしましょう。
パンを食べる人は、マーガリンやバターとさよならしましょう。
もちろんジャムやマーマレードともお別れします。
これらのことをゆっくりとやっていきます。

これが半年続けば、この90kgの人は75kgまで痩せられます。

食事管理の基本は、脂っぽいものと甘いものを避けることです。

そして炭水化物を取り過ぎないようにすることです。
白米だったら、一色あたり150gにすると良いでしょう。
急に減らすとお腹が空いて仕方ないので、少しずつ減らしていきます。
これらのことを確実に実行するなら、外食はしない方が良いです。
毎日自分で弁当を作って持ち歩くのが理想的です。
すぐにそうしなくても良いですよ。
ゆっくりと時間をかけて変えていくんです。
90kgから75kgまで痩せるならば、15kg体重を落とすことになるので、無理のない減量をするならば、減量期間は6ヶ月は取った方が良いでしょう。
全部で180日間の減量をします。
いきなり食事を減らして180日間我慢し続けるんじゃなくて、180日間かけてゆっくりと摂取カロリーを減らしていくんです。
もし急激に食事を減らして180日間我慢しようと思ったら、初めの2週間、3週間で劇的に体重は減ると思いますが、その後、あまり減らなくなって、我慢が効かなくなり、減量は挫折すると思います。
減量は少しの我慢の積み重ねです。
僕の場合は、犬の散歩を終えて家に戻ると、甘いお菓子が食べたくなります。
まずはそれを我慢する。そういう少しの我慢の積み重ねが減量だと思います。

4 目的に対して手段が大袈裟すぎる

その過程で、基礎代謝を増やして痩せやすい体にしなければ!と考えるのは正しくないと思います。
基礎代謝を増やすのは並大抵のことではありません。
猛烈に筋肉をつけて、ボディービルダーのような体を作り上げないと目に見える変化は起こりません。
それは減量よりもはるかに遠くて難しい目標と言えるでしょう。

「痩せるためにトレーニングをして基礎代謝を高めましょう」というのは、英語の苦手な高校生に「英語で赤点をとりたくなかったら、まず英検1級に合格しなさい。」と言っているのと同じに聞こえるんです。
「それが出来たら何も困らないよ!」という感じでしょうか。
筋トレをして基礎代謝を目に見えるほど高める事ができるんだったら、もうそのままボディービルダーになれると思います。
減量のためという、比較的簡単な目的のために、手段が途方もなく大変なんです。

なので、単に痩せたい人は筋トレなんかしなくて良いですよ。
筋肉がついて脂肪のない体を目指すのではなく、単に体重を減らしたい人は、筋トレなんかしなくて良いです。
筋トレが好きでやりたいならやればいいですが、筋トレなんかしたくないという人が痩せるために我慢してやっているとしたら、誠にかわいそうな話だと思います。
具体的な数字で見ていきましょう。
下の表は人間の基礎代謝のセグメント情報です。
体のどの部位でどのくらいエネルギーを消費しているかをまとめたものです。
ここでは基礎代謝が1800kcalの人を例として取り上げます。

  安静時の代謝
  全身    100%  1800kcal
  骨格筋   22%   396kcal
  脳     20%   360kcal
  肝臓    21%   376kcal
  心臓    9%     162kcal
  腎臓    8%     144kcal
  脂肪組織  4%    72kcal
  その他   16%   288kcal

出典は下にリンクを貼っておきます。

表によると、基礎代謝が1800kcalの人の場合は、筋肉による代謝が396kcalということになります。
これが1割増えれば、およそ40kcal増えるので、計算では180日で体脂肪が1kg燃焼することになります。
体脂肪は1kgあたり7200kcalのエネルギーを蓄えていると言われているので、7200÷40=180日となります。
もし2割増えれば、基礎代謝がおよそ80kcal増えるので、およそ90日で体脂肪が1kg燃焼することになります。

筋肉量を2割増やすというのは簡単なことではなく、とても時間のかかることです。
仮にベンチプレスが50kgの人が筋肉量を2割増やして、使用重量も2割増えたとしましょう。
50kgの2割増しなので60kgです。
現在MAX50kgの人が、60kg挙げられるようになろうと思ったらどのくらいの時間がかかるでしょうか。
個人差もあるし、どのくらい熱心にトレーニングをするかにもよりますが、かなりハードにやっても数ヶ月はかかると思います。
数ヶ月かかって筋肉量を2割増やす事ができたら、基礎代謝がおよそ80kcal増えて、その後特に運動をしなくても、その基礎代謝を維持すれば、トレーニング前と比べて、90日で1kg痩せる体を手に入れることになります。
仮にトレーニングに3ヶ月かかるとして、その後、3ヶ月で1kg痩せる訳ですから、トレーニング開始から6ヶ月で1kg痩せ、9ヶ月で2kg、12ヶ月で3kg痩せることになります。

これはどういうことでしょうか?
普通に食事制限をしていけば、1ヶ月で2kgぐらいずつ体重を落としていくことは簡単です。
トレーニングをして基礎代謝をあげて、痩せやすい体を手に入れようというのはあまりにも目的と手段が釣り合っていないのがわかると思います。
「痩せたいだけの人は、筋トレなどせずに食事管理だけしていればいい」というのはこういう理由からです。
筋トレをして筋肉がつけばその分体重は増えます。
体重を落とす事が目的の人に取ってみれば、これは良くない事でしょう。
減量と同時に筋トレをする必要がある人は、筋肉ムキムキの体を手に入れたい人だけなんです。

5 でもスクワットはやりましょう

でも、一つ付け加えさてもらいます。
僕はもう50歳を過ぎているので、こういう事を言うんですが、老化は脚から来ると言います。
なので減量とは別に、健康のためにスクワットはしっかりやっておいた方が良いと思います。
どのくらいやれば良いかというのは線引きが難しいですが、一つの目安として自分の体重と同じバーベルを背中に担いで、しっかり一番下までしゃがむスクワットを10回出来るぐらいの力があったら良いと思います。
脚は絶対に鍛えておいた方が良いです。
スクワットがどうしても嫌ならば、ランニングや縄跳びでも良いと思います。
縄跳びは例えば毎日二重とびを100回ぐらいやっておけば、結構脚は鍛えられると思います。
ランニングも毎日5kmぐらい走っておけば大丈夫でしょう。
これらのトレーニングをしたくない人は、せめて駅のエスカレーターを使わないで、自分の足で階段を登るぐらいのことはしておきたいと思います。

ありがとうございました。 

表の出典はこちらです。  

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