こんにちは、鹿野一郎です。
僕は2020年の6月からスクワット、ベンチプレス、デッドリフトは原則として5/3/1プログラムに従ってやっています。
パワーリフティングをしていますが、試合の前は、5/3/1プログラムからそれて、試合用の調整をしています。
約1年半に渡って5/3/1プログラムをやってきて、効果はかなりあると感じています。
でも、始めた頃は、あまりにも楽過ぎて、こんなんで強くなれるのかな?と思ったのも事実です。
これらの事についていろいろ書いて行きたいです。
初めはとても軽いです
5/3/1プログラムは、4週間で1つのサイクルを構成しています。
4週間の予定をすべてこなす事が出来たら、次のサイクルは負荷をあげて同じようにやります。
サイクルが進めば進むほど、負荷が重くなって行きます。
5/3/1プログラムは、スクワット、ベンチプレス、オーバーヘッドプレス(ショルダープレス)、デッドリフトで行う事が推奨されています。
まずは各種目の最大筋力を測定します。
それが、True MaXになります。
後に述べる理由により、このバーベルブログでは、True Maxではなく、「仮想MAX」を呼ばせて頂きます。
仮想MAXに0.9をかけた値を、TM(Training Max)と呼びます。
そしてトレーニングの重量はすべてこのTMに基づいて決められます。
True Maxという言葉を使いたくないのは、これも省略するとTMになってしまって、Training Maxと区別がつかないし、サイクルをクリアするたびに自動的に数値が加算されて行くので、サイクルの進行とともに実際の最大筋力からかけ離れて行くからです。
そういう理由から僕は勝手に仮想MAXと呼んでいます。
さて、5/3/1プログラムでのトレーニングの負荷と回数は以下のようになります。
WEEK1 TM×0.65を5回、 TM×0.75を5回、 TM×0.8を5回以上出来る限り
WEEK2 TM×0.7を3回、 TM×0.8を3回、 TM×0.9を3回以上出来る限り
WEEK3 TM×0.75を5回、 TM×0.85を3回、 TM×0.95を1回以上出来る限り
ディロード TM×0.4を5回、 TM×0.5を5回、 TM×0.6を5回
ディロードというのは、軽いバーベルでトレーニングをして疲れを抜く週の事です。
これをすべてクリアする事が出来たら、次のサイクルでは仮想MAXを2.5kg加算します。
ベンチプレスとオーバーヘッドプレスでは2.5kg加算し、スクワットとデッドリフトでは5kg加算します。
具体例を出すと、ベンチプレスのMAXが100kgの人の場合は次のようになります。
WEEK1 59kg5回、 68kg5回、 77kg5回以上出来る限り WEEK2 63kg3回、 72kg3回、 81kg3回以上出来る限り WEEK3 68kg5回、 77kg3回、 86kg1回以上出来る限り ディロード 36kg5回、 45kg5回、 54kg5回
これは実際に100kgあげられる人から見たら、軽過ぎてトレーニングとは言いたくない内容だと思います。
僕も最初はそう思いました。
それまでは最大筋力の7割から8割程度の重さで10回3セットをあげるというトレーニングをしていたので、MAXが100kgならば、70kgから80kのバーベルで10回3セットを目指してやっていたと思います。
どうしても、バーベルが軽過ぎると思うと、もっと重たくしたくなるもんだと思います。
僕は2020年6月に、半年振りにスクワットを再開しました。
すっかり脚力が衰えていましたが、仮想MAXは165kgで始めました。
この165kgというのは、パワーリフティングの試合で実際にあげた事がある自己ベストでした。
半年振りのスクワットでそれだけの力が出るはずがないんですが、5/3/1プログラムは初めは軽いから調度良いと考えて、仮想MAX165kgで始めました。
結果として、時間はかかりましたが、スクワットはかなり強くなりました。
5/3/1プログラムを始めて37週目には190kgが1回挙がるまでになりました。
この5/3/1プログラムは、脚、胸、肩、背中に2種目ずつ補助種目をやる事を勧めています。
補助種目の重さは明記されていませんが、10回5セットとされています。
補助セットにはいくつかのバリエーションがあり、バリエーションに名前までついているんですが、その中に、スクワット、ベンチプレス、オーバーヘッドプレス、デッドリフトを、重さと回数を変えて行い、補助種目とするバリエーションもあります。
僕はこのバリエーションを取り入れていて、補助種目を「補助セット」、上記の5回、3回、1回のトレーニングを「メインセット」と呼んで区別しています。
あくまでも僕個人の話ですが、僕は補助セットの重さは、メインセットの1セット目の重さでやるようにしています。
この補助セットがなかなかのボリュームで、実はメインセットよりも、補助セットでパワーアップしているんじゃないかとすら思っています。
ベンチプレスでMAX100kgの人が5/3/1プログラムを始めて、トレーニングウエイトが100kgになるまでに要する時間
ベンチプレスで100kgを挙げられる人がMAX100kgから5/3/1プログラムを始めて、サイクルをクリアするたびに仮想MAXを2.5kgずつ加算する場合、計算してみると、トレーニングウエイトが100kgに達するのは、8サイクル目のWEEK3の3セット目です。
これはトレーニングを開始してから、31週目です。
どうでしょうか?
5/3/1プログラムをやった事がない人からすると、冗談じゃない!と言いたくなるような期間ではないでしょうか。
少なくとも、5/3/1プログラムと出会う前の僕だったら、そう思ったと思います。
普段は70kgから80kg程度でトレーニングをして、たまにMAXに挑戦したいと思っていました。
例えば月に1回ぐらいは102.5kgとか105kgに挑戦したいとか、たまには気分を変えて、回数は少なくなってもいいから、90kgでやってみたいとか、そう思っていました。
では、そういうトレーニングを続けた場合、半年後、1年後に効果的にパワーアップ出来るのでしょうか?
僕の経験では、トレーニングを始めたばかりの初心者の頃は、どんどん力がついて行きましたが、やがて頭打ちになり、まるっきり数値が伸びなくなって行きました。
でも、経験で物を言うと、5/3/1プログラムに従ってトレーニングをしていたら、時間はかかりましたが、過去のベストを打ち破り、記録が延び続けて行ったんです。
スクワットはMAX165kgから始めました
2020年6月に、半年のブランクが明けてスクワットを再開しました。
仮想MAXは165kgです。
その当時の僕には165kgを挙げる力はなかったと思いますが、それでもプログラムは軽かったです。
プログラムに従ってやっていくと、7サイクル目のWEEK3の3セット目でようやく165kgを挙げるときが来ました。
かつての自分の自己ベストで1回挙げるのが精一杯だった重さです。
でもその時、僕は165kgを連続で3回挙げる事が出来ました。
自己ベスト更新です。
その後も、サイクルをクリアし続けて、5/3/1プログラムを始めて1年後には、仮想MAX230kgまで進んでいました。
去年の6月の事です。
でもこの仮想MAX230kgが重過ぎてクリア出来なかったので、思いきって210kgまで落としてみました。
そうしているうちに10月のパワーリフティング千葉県大会が迫ってきたので、5/3/1プログラムは一旦中止して、ハイボリュームのトレーニングと高重量のトレーニングに切り替えました。
悪い事に、試合の2週間前に怪我をしてしまって、スクワットは2021年一杯は休む事になりました。
そして、2022年の1月から5/3/1プログラムを再開しました。
3ヶ月間怪我でスクワットが出来なかったので、思いきって仮想MAXは170kgまで戻しました。
今はそこからまた上を目指してやっているところです。
さて、ここで言いたかったのは、仮想MAX165kgでスタートした場合、実際に165kgに挑戦するまでに、27週間もの時間を要しますが(僕はディーロードをやっていなかったので、もっと短い期間で165kgに届きました)、いざ165kgに達してみると、1回挙がるかどうかではなくて、3回挙げる事が出来たという事です。
扱う重量が軽いからと言って馬鹿にするもんじゃありません。
ちゃんと力はついているんです。
漸進性過負荷の法則と5/3/1プログラム
筋力を向上させるのに、漸進性過負荷の法則というのがあります。
過負荷というのは、負荷を余計にかけるという事です。
重たいダンベルやバーベルを持つ事がこれに当たります。
漸進性というのは、ちょっとずつ重くするという事です。
5/3/1プログラムに出会う前の僕は、最大筋力の7割から8割の重さで10回3セットを基本としていましたが、例えばベンチプレスで95kg10回3セットが出来なかったら、出来るようになるまで何週間でも、何ヶ月でもずっと95kgでやり続けていました。
これは過負荷にはなっていますが、漸進性はゼロです。
それに対して5/3/1プログラムでは確実にちょっとずつ重くなって行くので、漸進性過負荷の法則に当てはまっているんです。
それにしても、1セット目や2セット目は軽過ぎるのではないか?と今でも思いますが、結果が出ている以上、僕は5/3/1プログラムを信じます。
5/3/1プログラムは波状攻撃でMAX更新を狙う
スクワットやベンチプレスやデッドリフトで自己ベストに挑戦するのはどういう時でしょうか?
かつての僕だったら、「今日は調子がいいから、久し振りにMAXに挑戦してみるか!」というような感じで、体調と気分で決めていました。
大体月に1回はMAXに挑戦していたと思います。
でも、5/3/1プログラムは違います。
押しては引く、引いては押すの繰り返しでじわじわとあがって行きます。
ベンチプレスを仮想MAX100kgで始めた人が、各週の3セット目にやる内容だけを抜粋してまとめると次のようになります。
1サイクル目 WEEK1 77kg5回以上出来る限り WEEK2 81kg3回以上出来る限り WEEK3 86kg1回以上出来る限り 2サイクル目 WEEK1 78kg5回以上出来る限り WEEK2 83kg3回以上出来る限り WEEK3 88kg1回以上出来る限り 3サイクル目 WEEK1 80kg5回以上出来る限り WEEK2 85kg3回以上出来る限り WEEK3 90kg1回以上出来る限り 4サイクル目 WEEK1 82kg5回以上出来る限り WEEK2 87kg3回以上出来る限り WEEK3 92kg1回以上出来る限り 5サイクル目 WEEK1 84kg5回以上出来る限り WEEK2 89kg3回以上出来る限り WEEK3 94kg1回以上出来る限り 6サイクル目 WEEK1 86kg5回以上出来る限り WEEK2 91kg3回以上出来る限り WEEK3 96kg1回以上出来る限り 7サイクル目 WEEK1 88kg5回以上出来る限り WEEK2 93kg3回以上出来る限り WEEK3 98kg1回以上出来る限り 8サイクル目 WEEK1 90kg5回以上出来る限り WEEK2 95kg3回以上出来る限り WEEK3 100kg1回以上出来る限り
これを見て頂ければ分かると思いますが、重くなったり、軽くなったリを繰り返しながら、じわじわと重くなって行きます。
本当にじわじわとです。
僕の場合は、スクワットで、プログラムの内容がこなせなくなるまでに1年かかりましたが、その1年で、自己ベストは165kgから190kgまで伸びました。
しかも半年のブランクが明けてからの1年間でです。
このように波状攻撃でじわじわと使用重量が上がって行くのは、スクワットで特に有効だと感じました。
ベンチプレスで潰れたり、デッドリフトで持ち上げられない事に比べると、スクワットで潰れるのは、僕は怖いです。
なので、スクワットで自己ベストに挑戦するのは、他の種目より怖いです。
でも5/3/1プログラムだと、しっかりと外堀を埋めてくれるというか、お膳立てをしてくれるというか、とにかく準備は整ったという気分で挑戦する事が出来ました。
それはとても大きなメリットだと思っています。
毎週、毎セット、重さと回数が変わるので飽きない
それまでの10回3セットのトレーニングに比べると、5/3/1プログラムは毎週、毎セット扱う重さと回数が変わるので、飽きる事がないです。
また、毎週同じ内容のトレーニングばかりやっていると、どうしても眠くて起きられない時とか、疲れが溜まっていてトレーニングをしたくない時は、「今日は休んじゃえ!」という気分になりやすいですが、5/3/1プログラムの場合はそうなりにくいです。
プログラムに穴が空く、または1週後にずれ込むとなると、予定通りの効果が得られなくなる可能性があるので、やっぱりさぼりにくくなります。
これも大きな効果かも知れないです。
5/3/1プログラムは面白いと思います
5/3/1プログラムを考案したジム・ウェンドラー(パワーリフター)が、どういう発想の元にこの重さ、回数でプログラムを組んだのかは、わかりません。
これは決してパワーリフティングに特化したプログラムではなく、より万民向けに作られたものです。
パワーリフティングに特化するなら、もっと別のプログラムをやった方が良いという話も聞きます。
でも僕は、5/3/1プログラムが面白いと思うので、しばらくはこれをやり続けるつもりです。
もし、今のトレーニング方法で伸び悩んでいて、何らかの解決策を見付けたいと思っている人がいるならば、この5/3/1プログラムを試してみる価値はあるんじゃないかと思います。
内部リンク「スクワットで185kgが2回挙がりました!5/3/1プログラムの成果です」
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