年齢と体力 その2

ダンベル その他

こんにちは、鹿野一郎です。
僕は以前、年齢と体力という投稿をしました。
今回は年齢と体力についてもう少し掘り下げて考えたいと思います。
野球やサッカーを見ていると、体力のピークは20代後半から30代前半ぐらいかと思いますが、野球とかサッカーではなく、実力が数字になる競技で年齢と記録の関係を調べてみました。
それはパワーリフティング、ウエイトリフティング、フルマラソン、100m走です。
今回はこれらの競技のマスターズの記録について調べたことをまとめてみたいと思います。

結論を先に言ってしまうと、パワー系の競技よりも100m走、フルマラソンの方が加齢による記録の衰えが小さかったです。
そして競技者人生も長いようです。
これはとても意外な結果だったので、再びこのテーマで投稿文を書こうと思いました。

1 記録の数値化

各競技の結果を40歳代、50歳代、60歳代、70歳代、80歳代と調べていき、40歳代の記録が100になるように数値を加工しました。
パワー系の競技の場合は、40歳代の記録を100とし、50歳代、60歳代の記録に同じ係数をかけて90、85などと表現します。
100m走やフルマラソンの場合は逆になります。
タイムが短い方が良いので、タイムの逆数を取りました。
逆数をとると速さの次元になるので、あとは40歳代の速さが100になるように一定の定数をかけて数値を揃えました。
つまり、100m走とフルマラソンでは平均の速さが数値化されているわけです。
その結果が以下のようになりました。

表1 40代を100とした数値

これを見ると、スクワットやベンチプレス、デッドリフト、ウエイトリフティングには80代、90代、100代の記録がないですが、これについてはおそらく、マスターズの年齢区分けの問題だと思います。
パワーリフティングではマスターズは1から4まであります。マスターズ1が40代で、マスターズ4が70代です。
80歳以上の人が試合に出た場合は、マスターズ4に区分されます。
このため、80代、90代での日本記録というものが存在しないんです。
では、80代、90代の選手は実際にはいるのでしょうか?
僕が今まで出た試合では、80歳以上の選手は、おそらくいないと思います。
出ても日本記録を出すためには70代の若い選手と競わなければならないので、おそらく出てこないのでしょう。
仮にパワーリフティングで80代、90代のマスターズができたとしたら、もしかしたら出場する選手もいるのかも知れません。

2 元となるデータ

上の表の数値の元になるデータは下の表の通りです。

表2 元にしたデータ

表2に示したベンチプレス、スクワット、デッドリフトの数値は、全てパワーリフティング男子74kg級のマスターズの日本記録です。
みなさん、すごいパワーです。
僕は全く届きません。

またWリフティングというのはウエイトリフティングのことです。
全てカタカナで書くと長くなるので、頭文字をとって短くしました。
これは男子73kg級のマスターズの日本記録です。
ウエイトリフティングにはスナッチと、ハイクリーン\&ジャークという2種目がありますが、2種目のトータルを扱っています。

100m走は男子のマスターズの日本記録を元にしています。
100歳を過ぎても100m走をやっている人がいることが驚きですね。
90代の日本記録が18秒08というのも凄すぎると思います。
僕は53歳ですが、同年代のお父さんの中には、100mを18秒08で走れない人がたくさんいるのではないでしょうか。
90歳代でこのタイムは本当に凄いと思います。

そしてフルマラソンはマスターズの世界記録を元にしています。マラソンは日本記録がよくわからなかったので、世界記録です。
90歳を過ぎてフルマラソンを走る人がいることが驚きですが、80代と90代では世界記録が倍も違うんですね。
80歳代の195分というのは、3時間15分ということです。
驚異的な速さですね。
僕はフルマラソンを3回完走したことがありますが、自己ベストは4時間19分です。
当時の正確な年齢は覚えていませんが、30代前半でした。
80代で3時間15分なんて、まるで化け物ですね。

3 グラフにしてみて

次に表1をグラフにしたものが下のグラフです。

このグラフを見て、僕は三つのことに気づきました。
以下の三つです。
(1)ウエイトリフティングの落ち込みが最も大きい。
(2)スクワットの落ち込みが最も小さい。
(3)100m走やマラソンは80歳まではほぼ一定のペースで低下するが、80歳をすぎると加速し、90歳  
 を過ぎるとさらに加速する。

(1)についてですが、ウエイトリフティングは全身運動な上に、瞬発力で重いバーベルを持ち上げるので、関節にかかる負担がとても大きいと思います。
なので歳をとると落ち込みが大きくなるのではないでしょうか。ベンチプレスやスクワット、デッドリフトは無反動でバーベルをゆっくり挙げる競技ですが、ウエイトリフティングは反動による瞬発力とフォームで、とても重たいバーベルを頭の上まで押し上げるので、ウエイトリフティングの方が体にかかる負担は大きいはずですよね。
僕はウエイトリフティングはやったことはありませんが、そう思います。
ウエイトリフティングはスナッチと、クリーン\&ジャークの2種目の合計重量で競います。
合計記録が240kgの場合は、大体スナッチが110kg、クリーン\&ジャークが130kgぐらいでしょうか。
110kgのバーベルを床から一気に頭の上まで持っていくのは、かなり全身に負担がかかると思います。
また、130kgのバーベルを床から胸まで引き上げて、一度鎖骨に乗せ、次の動作で頭の上まで押し上げるのも、相当に大変なことだと思います。
パワーリフティングよりウエイトリフティングの方が怪我のリスクも多そうですね。
(2)については、老化は脚から来ると言いますが、しっかり鍛えていれば、筋力は低下しにくいという事なのでしょうか。70歳代になっても40歳代のときの84%ものパワーを維持しているならば、十分すぎるのではないでしょうか。
杖をつかないと歩けないとか、階段の上り下りができないなどということとは無縁の生活を送れるんじゃないでしょうか。
それどころか人を背負って階段を上ることすらできそうです。
これはすごいことだと思います。
(3)については、日本人の平均寿命は男性81歳、女性85歳ですから、80歳を過ぎたあたりから急激に体力の低下が大きくなるんでしょう。

その他に気づいたことを書きます。
ベンチプレスとデッドリフトを比べると、ベンチプレスの方が落ち込みが大きいですが、これも意外です。
ベンチプレスと言えば、ウエイトトレーニングの中で最もポピュラーで、誰もが大好きな種目だと思います。
なので、このベンチプレスが最も低下の率が低くなりそうなもんだと思いますが、実際はデッドリフトやスクワットよりも落ち込みが大きいんです。
歳をとると胸、腕の筋力は、脚や背中の筋力よりも衰えるんですね。
老化は脚から来るという通説とは違う結果になっているような気がします。
もちろん、通説を疑っているわけではないですよ。
パワーリフティングをずっと続けていると、世間の御老人とは違う結果になるのだろうと思っています。

4 フルマラソン

フルマラソンは世界記録を元に表を作っていますが、90歳を過ぎても完走する人がいる事が驚きでした。
42.195kmですからね。健康な若い人でも、結構な割合が完走できないと思います。
90歳代の世界記録は6時間35分(395分)です。
僕は30代の頃にフルマラソンに何回か出た事がありますが、5回出場して完走は3回でした。
タイムは5時間19分、4時間40分、4時間19分です。
今思い出してもフルマラソンはとても過酷で、きついものでした。
友達から、フルマラソンがどのくらいキツいのかと聞かれた事があるので、「一日に富士山の五合目から頂上まで2往復するぐらい疲れる。」と答えた事がありました。その友達は「そんなに疲れるのかよ。」と驚いていましたが、本当にそのぐらいきついと思っています。
ちなみに僕は富士山の頂上まで3回行った事があります。
疲れますが、フルマラソンよりはだいぶ楽です。

それを90歳を過ぎて成し遂げる人がいるというのはすごい事ですが、すごいというより恐ろしさを感じます。
その方は大丈夫だったのでしょうか。
年齢が年齢なので、心配になってしまいます。
おそらくこの方は、列の最後尾からスタートしたのではないでしょうか。
僕が参加したのは佐倉朝日健康マラソン、東京荒川マラソンですが、ピストルの音がなってからも、五分以上は人混みがすごくて走り出す事ができません。
ようやく人々が歩き出したかと思うと、競技場を出るまで歩いたままで、公道に出てからようやく走り出せるというぐらい人が多いです。
これは佐倉マラソンの話で、東京荒川マラソンはずっと河川敷を走りますが、スタートの合図からしばらく動けないのは同じ事です。
あんな人混みの中に90歳のご老人がいたら、それだけで危険なので、おそらく最後方からスタートしたんだと思います。

5 100m走

一方で100m走には100歳を過ぎて出場している方がいます。
日本記録は29秒83という事ですが、100歳を過ぎた方がユニフォームを着て、スパイクを履いて競技場に立つ段階で、もうすごいと思います。
100歳を超えているならば、転ぶだけで一大事になってしまうと思いますが、それでも試合に出て走るというのはすごいです。
すごいですが、やっぱりすごいというより、恐ろしいと感じてしまいます。

ずっと前、もう20年以上前だと思います。もしかしたら30年ぐらい前かも知れませんが、NHKスペシャルで高齢者の陸上競技を取り上げていた事がありました。
90歳をすぎたおじいさんが100m走をしていましたが、家には数え切れないほどのメダルがありました。
ああいう人が本当にいるんですね。しかも100歳を過ぎてもいるんですね。

で、タイムの話です。
上の表によると、70歳代での記録の落ち込みは100m走よりは大きいですが、ベンチプレスよりは良いです。
マラソンなんて、今53歳の僕が考えても、もう無理ではないかと思いますが、マラソンよりもベンチプレスの方が加齢による記録の落ち込みが大きいんです。
これは本当に意外です。

僕は若い頃は空手をやっていました。
空手で強くなろうと思うと、毎日空手の練習をするだけでは足りず、打撃力の向上のためにウエイトトレーニングもしていました。
さらに自分より背の高い相手の顔を蹴るために、柔軟運動もしていました。さらに激しい打撃戦になっても息が続くようになるために、ランニングもしていました。空手をやるのはとにかく大変でした。
でも、パワーリフティングは筋トレだけしていれば良いので、空手の比べてだいぶ楽だと思っています。
空手のような激しい競技はもう年齢的にできないから、今はパワーリフティングをしているという認識なんですが、上の表を見ると、競技者人生はパワーリフティングよりも、100m走やフルマラソンの方が長いようです。

6 結論

結局どの競技も若い方が記録が良いという結論になります。
スクワットとデッドリフトだけは40代と50代で記録が同じですが、それ以外の種目では年を取ると確実に記録が落ちていくようです。
その落ち込みは、100m走やフルマラソンよりもパワー系競技の方が大きく、特にウエイトリフティングの落ち込みが大きいようです。
やはり人間は年齢には勝てないようです。
でもこれはトップレベルの人の話であって、普段特に運動していない人は、何歳からでも運動を始めれば、体力がつき、記録は伸びていくと思います。
いつまでも健康で楽しく生きていきたいので、なるべく体は動かして健康を維持したいと思います。
今はパワーリフティングばかりやっていますが、可能ならハーフマラソンなどにも出て、バランスを取りたいと思います。
フルマラソンに出るとなったら、一大事ですが、ハーフマラソンならば意外と簡単に走れると思います。
振り返ってみると、ハーフマラソンは成田のマラソン、埼玉県庄和町の大凧ハーフマラソン、谷川真理ハーフマラソンなどに出た事があります。
いつかまた挑戦してみたいです。
確かハーフマラソンの自己ベストは1時間44分だったと思いますが、さすがに記録の更新は難しいでしょう。

ありがとうございました。

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