こんにちは、鹿野一郎です。
今日は2022年7月6日の水曜日です。
今日は、我がヒーロー、シルベスター・スタローンの76歳の誕生日です。
あのスタローンも、76歳ですよ。
仕方ない事ですが、誰でも歳を取りますね。
先日、インターネットでシルベスター・スタローンの「ランボー・ラストブラッド」(2019年)のDVDを買い、自宅で見ました。
この作品はそれまで見た事がなく、初めて見ました。
見た後はなんとも言えない複雑な気分になり、映画の感想をブログに投稿するのが不可能に思えました。
僕の中でぐるぐると渦巻いている複雑な感情を文章にする事ができなかったです。
でも、それから数日が経過し、少し落ち着いてきました。
映画は2回見ました。
これからも何度も見ると思いますが、現時点では2回です。
実は今年の3月に「ランボー」(1982年)のDVDを買い、4月に「ランボー怒りの脱出」(1985年)のDVDを買い、5月に「ランボー怒りのアフガン」(1988年)、6月に「ランボー最期の戦場」(2008年)のDVDを買いました。
そして今月が「ランボー・ラストブラッド」(2019年)です。
来月からはロッキーのシリーズを揃えます。
昔、シルベスター・スタローンの映画のビデオテープ、レーザーディスクはたくさん持っていたんですが、ビデオテープは経年劣化で映らなくなり、レーザーディスクはDVDに駆逐されてこの世から消えてしまったので、今になってDVDを揃えているんです。
ランボーのシリーズは第1作と第2作は内容を全部覚えるほど繰り返し見たのでよく覚えていました。
これはランボーじゃない
「ランボー・ラストブラッド」を見て、これはランボーではないと、強く思いました。
映画の中のランボーが何歳なのかはわからないので、映画が公開された時のスタローンの年齢をランボーの年齢とさせてもらうと、第1作では36歳、「怒りの脱出」では39歳、「怒りのアフガン」では42歳、「最後の戦場」では62歳、「ラストブラッド」では73歳です。
73歳のアメリカ合衆国の国民があんな残虐な行為をするとは思えないです。
そもそも映画の内容は僕の想像とかなり違っていました。
インターネットで予告編をちらりと見た事があったので、家族同然に暮らしていた若い女の子(正確には幼なじみの女性の孫)が人身売買組織にさらわれて、助けに行く話だというのは知っていました。
「ランボー怒りのアフガン」では、敵に捕らえられたかつての上官(トラウトマン大佐)を救出するために、ソビエト軍と戦い、最後は救出します。
「ランボー最期の戦場」では、ランボーの反対を押し切って、紛争地帯で虐殺されているミャンマーの村人に薬と本を届けに行ったNGOの人々(の中の女性)を救出するために、命がけで戦います。
NGOのメンバーは何人も命を落としますが、助けたかった女性は怪我もなく、無事に救出されました。
なので、今回も誘拐された若い娘さんは無事に救出されるものと思っていました。
でも、全然違いました。
まだ大学に入る前という事なので、年齢は18歳でしょう。
そんな若い女の子が恐ろしくひどい目に遭わされて命を落としてしまいます。
友達に裏切られて人身売買組織に売られ、何十人もの男の相手を無理やりさせられ、薬を打たれ、顔にナイフで大きな傷を2つつけられ、最後は命を落とします。
ランボーはその女の子を救うために、人身売買組織の極悪人を何人も殺します。
そして女の子を救出して、帰路に着きます。
でも、その女の子は帰りの車の中で息を引き取ってしまいます。
僕は映画を見ていて、これでストーリーは終わりだなと思いました。
まだ、映画が終わるほど時間が経過していないと思いましたが、女の子が死んでしまったら、家に連れ帰って埋葬して終わりだと思いました。
普通だったらそれで終わりになるはずです。
でも、この映画はランボーなので、激しい戦闘シーンがあるはずです。
まさか、女の子を殺された怒りのために復讐し、組織と戦うのでしょうか?
いくらなんでもそれはあり得ないと思いました。
ジョン・ランボーはタイから帰国して10年間アメリカ合衆国のアリゾナ州で普通に暮らすアメリカの国民でした。
救助隊のボランティアをして、山で遭難した人々を助けて来ました。
そのアメリカ合衆国の国民が、自分の家族同然の18歳の女の子をメキシコの人身売買組織にまぶり殺しにされたからと言って、復讐のために組織の人間を皆殺しにするなんて、あまりにも現実離れしています。
あのジョン・ランボーが、晩年にこんなにひどい大量殺人をするのか?そう思うと、これはランボーではない、と思う他ありませんでした。
それまでのランボー
ランボーはベトナム帰還兵です。
ベトナム戦争ではグリーンベレーの一員として、勇敢に戦い80人以上の敵を倒しました。
(ランボー怒りの脱出でマードックが資料を読みながらそう言っていました。)
最先端の武器を使って敵を殺しました。
戦争で仲間を失い、帰国すると空港で、「赤ん坊を殺した!」などの非難を浴びます。
そして仕事に就こうにも見つからず、挙句に食事をしようと思って立ち寄った街で、警官にやたらと絡まれて、逮捕され、暴行されます。
我慢の限界を超えたランボーは暴れて警官を倒し、脱走して山にこもります。
その後もすごい暴れ方で、何人もの警官に大怪我をさせ、街を一つ破壊してしまいます。
最後はトラウトマン大佐の説得に応じて自首し、逮捕されます。
「ランボー怒りの脱出」では、刑務所に服役していたランボーをトラウトマン大佐が迎えに来て、特殊任務を頼みます。
成功すれば恩赦するという条件で、ランボーは任務に参加し、ベトナムの軍人を100人以上殺します。
それは任務でやったことです。
「ランボー怒りのアフガン」では、またしてもトラウトマン大佐に任務を頼まれます。
アフガニスタンのソビエト軍の残虐行為を調査したいという申し出でしたが、今度は断りました。
仕方なく、トラウトマン大佐が調査に乗り出し、ソビエト軍につかまってしまいます。
その知らせを受けたランボーは、大佐を救出するために、非公式の任務でアフガニスタンに潜入し、100人以上のソビエト兵を殺します。
これも任務でやったことです。
「ランボー最期の戦場」では、ランボーは、おそらくタイと思われる国で、ヘビを捕まえて売る事で生計を立てていました。
船も操船していたので、そのランボーの船の腕を頼って、アメリカのNGOの団体がミャンマーまで自分たちを運んで欲しいと依頼します。
ミャンマーは紛争地帯で、とても危険だから行くべきではない、家に帰れと何度も言いますが、NGOのメンバーは諦めません。
メンバーに1人若い女性がいて、高い理想を持っているんですが、現実を知らないという大きな欠点がありました。
結局ランボーはその女性の説得に応じて、ミャンマーまでグループを運びます。
途中で地元の海賊に襲われますが、ランボーが皆殺しにします。
あれは正統防衛だと思います。
相手は話し合いが通じる連中ではなく、先に撃たなければやられる危ない状況でした。
数日後、ランボーの元に1人の男が現れ、NGOのメンバーと連絡が取れないと言います。
救出のために傭兵を雇ったので、傭兵を同じ場所に案内して欲しいと頼まれます。
そして、ランボーも救出に加わる事になります。
おそらのこの作品でもランボーは100人以上のミャンマー兵を殺したと思います。
でも、映画の中のミャンマーは完全に無法地帯で、殺さなければ殺されるという極限の環境なので、救出のためにはやむを得ない行為だったと思います。
すごいスケールですが、あれも正当防衛と言えると思います。
でも、今回の「ラストブラッド」は違います。
個人的な復讐のために、40人近い人間を殺しました。
正当防衛ではなく、過剰防衛でもなく、大量殺人です。
女の子を救出して家に帰る途中、車の中で女の子は息を引き取ります。
ランボーは女の子を助けに行ったときに、おそらくパスポートだろうと思われるものを人身売買組織に奪われます。
しかも車には死体が乗っているので、普通に国境を通ることはできず、有刺鉄線を破って、違法にアメリカに入国して自宅に帰ります。
ランボーの家は、まさにポツンと一軒家で、ものすごく広い平原に家が一軒だけあります。
目の前には冬山が見えていますが、おそらくその山まで数十キロは離れているでしょう。
それぐらい何もないところにポツンと家があります。
ランボーはその家と家の地下道(とても長いトンネル)に数々の罠を仕掛けて、敵が攻めて来たら迎え打てるようにします。
準備が整ったら、なんとランボーの方から敵を挑発しに行きます。
再びメキシコに入国して、人身売買組織のトップの兄弟の弟を残虐な方法で殺害します。
怒りに燃えた兄は、大量の武器を持って6台の車でランボーの家に復讐に来ます。
そのうち1台は庭に仕掛けた爆弾で吹っ飛ばされて、車から降りる前に殺されます。
5台の車から武装した男たちが出て来て、家に入ろうとしますが、罠のために家に入る前に何人も殺されます。
ランボーは武装した男たちをトンネルにおびき寄せて、その中で次々に殺していきます。
ほとんどの敵は、銃を撃つこともなく殺されました。
そのようにして皆殺しにするんですが、殺しの手口があまりに残酷で、正常な人間のやることとは思えないです。
いくら怒りが大きいとはいえ、生きている人間の胸から心臓を引きちぎって取り出すというのは酷すぎます。
まるで殺人鬼です。
あれは完全に犯罪で、法で裁かれたら死刑だと思います。
ん?アメリカには死刑ってないんでしたっけ?
ちょっとよくわかりませんが。
それまでの殺人は、任務であり、正当防衛だったと思いますが、今回のは違います。
あれはどんなに擁護しても犯罪です。
しかも大量殺人です。
ベトナムから帰還したジョン・ランボーの晩年があんなものだと思うと、とても虚しくなりました。
何故ああいう話になったのか
映画を見た後、どうにも釈然としない気持ちでした。
映画としては、面白かったかつまらなかったかと聞かれたら、面白かったです。
それに、久し振りにスタローンの新しい映画を見られたのが嬉しかったです。
でも、あれがランボーだと思うと非常に複雑でした。
何故ああいう話になったのでしょうか?
ランボーは「最後の戦場」のあと、アリゾナの自宅に帰ります。
前作のタイトルが「最後の戦場」なので、今作では戦場にいくわけには行かなかったんでしょう。
というより、73歳で戦場に行く人はいないでしょう。
アリゾナに住んでいて、戦場に行かないけれど戦う映画を作ろうと思ったら、メキシコの人身売買組織と戦うしかなかったのかも知れないです。
「怒りのアフガン」「最後の戦場」では、トラウトマン大佐と、NGOの若い女性を無事に救出しています。
なので、変化をつけるために今回は助けられなかったというストーリーになったんでしょうか?
でも、例えワンパターンでも、助けられなかったから恨みを晴らすために皆殺しにするより、敵の被害を最小限に抑えて無事に救出する方がストーリーとして、僕は好きです。
第1作ではあれほどの大暴れをして、街を1つ吹っ飛ばしているにもかかわらず、直接には1人も殺していません。
そういう映画にできなかったんでしょうか。
しかも映画がR15指定というのもちょっと複雑です。
「ランボー怒りの脱出」は世界中で大ヒットしましたが、残酷なストーリーではなく、残虐な映像もありませんでした。
子供にも安心して見せられる映画です。
「ランボー怒りのアフガン」では、かなり残酷なストーリーが展開しますが、残虐な映像はありませんでした。
あれも子供に見せる事ができます。
大きく変わったのは、「最後の戦場」ですね。
あの作品では、人間の手足、首が千切れて飛び散る場面が多く、残虐な映像が多かったです。
スティーブン・スピルバーグの「プライベートライアン」の影響を受けてああなったんだと思います。
でも、今回の「ラストブラッド」はさらにひどいです。
あそこまで暴力的な映画にする必要はなかったと思います。
晩年のランボーはどうやって暮らしているのかと思って見てみたら、開いた口が塞がらなくなりました。
教育の大切さ
「最後の戦場」のNGOの女性と、今回メキシコで誘拐された女の子に共通しているのは、理想を信じ込みすぎて、この世に悪は存在しないと思ってしまっている事だと思います。
今回誘拐された女の子は、何故父親が自分と母親を捨てたのか、その理由を直接尋ねたいと言いました。
ランボーは「家族を捨てるのに理由なんかない」「心が黒くなってしまった人間が良くなることはない。悪くなるだけだ。」と諭し、メキシコが危険な場所だと繰り返し言います。
女の子の祖母も同じです。
ランボーよりももっとヒステリックになって感情的に「あんな男に会う理由なんてない」と言います。
それでも女の子は、「(良い人に)変わったかも知れない。」と言い、こっそりメキシコに行ってしまいます。
そしてひどい目に遭わされて、命を落とします。
今時の学校ではどのような教育をしているんでしょうか?
科目の授業ではなく、道徳とか社会生活についてです。
「話せばわかる。」「暴力では何も解決しない。」というのはその通りだと思いますが、それは安全で平和な社会の中での話であって、危険な場所に行ってしまったら、ずばり「殺すか殺されるか」しかないです。
つまり、まず何よりも大前提として「危険な場所には絶対に近づかない。」という事を強く教えないといけないと思います。
興味本位で危険ドラッッグに手を出したがために、取り返しのつかない事になった人はこの日本にもたくさんいるんじゃないでしょうか?
僕は直接には1人も知らないですが、きっとたくさんいると思います。
もし家族と喧嘩して、若い女の子が家出をしたならば、絶対に新宿の歌舞伎町には近づかない方が良いと思います。
そいうより、そもそも家出しない方が良いと思います。
何かの小説で読みましたが、日本で失踪した人のうち、事件性があると思われる人は年間に6000人以上いるそうです。
実は僕の知っている範囲でも失踪した人は2人います。
1人は職場の同僚で、もう1人は職場の同僚のお父さんです。
僕が住んでいる街では、昼下がりになると次のような放送が流れます。
「子供たちが下校する時間になりました。地域の皆様におかれましては、子供たちが安全に下校できるように見守ってください。不審者などの情報がありましたら、交番か警察署まで連絡してください。」
これは防犯上、非常に効果が高いと思います。
もし犯罪を起こすつもりで、獲物を物色している危険な人物がいたとして、この放送を聞いたら、きっと「この街はやめておこう。」と思うでしょう。
とても良い取り組みだと思います。
「話せばわかる。」「この世に本当の悪人なんかいない。」と教え込まれた子供が、危険な場所に足を踏み入れるのはとても恐ろしい事です。
学校でも不審者から身を守る方法は教えていると思いますが、組織的な悪に接触してしまったらどうにもならないので、危険な場所に近づかないのが一番確実だと思います。
昔、今から10年ぐらい前でしょうか?「自分探し」というのがちょっとしたブームになっていました。
日々の日常に不満のある人々が、本当の自分はこれじゃないと思い、本当の自分を探しに旅に出るというものです。
そのとき読んでいた本に以下のような事がズバリと書いてありました。
自分探しと称して全く知らない外国を1人でぶらぶら放浪するよりも、探偵でも雇って自分の友人、知人にあなたについてどう思っているのかをロングインタビューしてもらった方がよっぽどあなたがどんな人なのはっきりとわかりますよ。
全くその通りだと思います。
でも、あの頃は自分探しのために外国を放浪する若者が多かったです。
そして、1人の若者が命を落としました。
若い人は知らないと思いますが、小泉純一郎氏が総理大臣だった頃の事です。
おそらく当時28歳ぐらいだった若い男性がイラクを訪れて殺害されました。
もともとはオーストラリアに留学していたそうですが、自分探しをしたくなり、当時戦争をしていた「悲惨なイラクを見てみたい。」という思いから、イラク行きを検討しました。
僕はこの事件のことは詳しくなく、新聞で読んだ内容しか知らないです。
その若者は、数日悩んだ末にイラク入りをする事を決め、人に頼んでトラックでイラクまで連れて行ってもらったそうです。
トラックから降りて歩き出すとすぐに武装勢力に捕まって、アジトに連れて行かれました。
そして、カメラに向かって喋らされました。
「イラクにいる自衛隊を撤退させないと、自分の首を跳ねると彼らは言っています。すいませんでした。」こんな感じのカメラ目線の映像がニュースで流れました。
そして彼は命を落としました。
実際にあった話です。
危険なところには近づかないことですね。
これはランボーが「最後の戦場」「ラストブラッド」の中で何度も言っていたことです。
今回、ランボーのシリーズを全て見直してみて、その事をとても強く印象付けられました。
今回はこんなところです。
ありがとうございました。