こんにちは、鹿野一郎です。
僕は一昨日(2021年12月12日)、ベンチプレス栃木県大会に出場しました。
会場は芳賀町の芳賀第2体育館でした。
この日はベンチプレス栃木県大会と、高校生のパワーリフティングの試合が当時開催されました。
僕は自分の試合のために行ったんですが、出番が遅かったので、それまでは高校生のパワーリフティングの試合を見ていました。
今回はその試合について述べたいと思います。
出場選手は9人でした。
高校生でパワーリフティングの試合にエントリーしたのは全部で9人でした。
男子が6人、女子が3人でした。
このうち8人が作新学院の生徒でした。
僕は高校野球には全く詳しくないですが、それでも作新学院が甲子園の常連校であることは知っています。
スポーツに力を入れている学校のようで、パワーリフティングの試合に生徒を8人送り込んできました。
男子5人、女子3人です。
パワーリフティングは、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの順に試技をし、3種目の合計重量で順位を競います。
僕は54歳のおじさんなので、高校生がパワーリフティングをするのはとても初々しい感じがして、見ていて新鮮でした。
また、僕は予備校講師なので、普段は高校生との接点と言ったら勉強を教えることなんですが、こうやって同じ選手として大会に出ているのが何とも新鮮でした。
それにしても高校にパワーリフティングの部活動があるというのは驚きです。
僕が通っていた高校では、当時はパワーリフティング部どころか、空手部も柔道部もありませんでした。
まあ、時代が40年近くずれているので、単純比較はできませんが、それでも高校でパワーリフティング部があるというのは、かなり稀なケースだと思います。
前に少し調べた事があるんですが、パワーリフティング部がある高校は、ウエイトリフティング部がある高校よりはるかに少ないです。
競技としてはパワーリフティングよりもウエイトリフティングの方が難しいと思います。
さらに練習場の床はかなり強くないと、いけません。
ウエイトリフティングはパワーリフティングと違って、バーベルを床に落とすので、並の床だったらすぐに床がダメになってしまうと思います。
だから、ウエイトリフティング部の練習場というのは体育館とは別に設けられるんです。
そのため、ウエイトリフティング部のある高校はかなり数が少なくなりますが、パワーリフティングはもっと少なかったと思います。
僕の記憶によると、僕が住んでいる千葉県で、ウエイトリフティング部がある高校は3つで、パワーリフティング部がある高校はゼロだったと思います。
スクワットで失敗した生徒はいませんでした。
スクワットの試技が始まりました。
申請重量の少ない生徒から順にやっていくんですが、なんと一番最初の選手は女子ではなく、男子でした。
74kg級の男子が60kgのバーベルでスクワットをしていました。
それを見てなんとも可愛く思えてしまいました。
ベンチプレスで60kgならまだわかりますが、スクワットで60kgというのはほとんど未経験の初心者じゃないのか?とすら思ってしまいました。
その男子が60kgを成功させると、次に57kg級の女子が出てきました。
重量は80kgです。
これには驚きました。
57kg級の女子高生が80kgのバーベルでスクワットなんてできるのか?
と思いましたが、とても丁寧なフォームでばっちり成功させました。
すごいなと思うと同時に、パワーリフティングはやっぱり面白いなと思いました。
僕も混ざって一緒にスクワットをしたかったです。
僕はベンチプレスの試合に出るためにそこにいたので、スクワットなど出来るはずがないんですが。
高校生の試技と見ているうちにある事が気になりました。
パワーリフティングのスクワットでは、選手がバーベルを担いでラックから外し、2、3歩後ろに下がって、準備が整ったら、顔を上げて正面を見ます。
主審は選手が顔を挙げたのを確認すると、「スタート!」と合図をかけます。
この合図がかかってからしゃがんで立ち上がります。
そして、「ラック!」の合図がかかってからバーベルをラックに戻します。
でも、選手が顔を上げてから、主審が「スタート!」の合図をするまでに随分と長い間があるんです。
いくらなんでもこれは長すぎると思いました。
選手にしてみれば重いバーベルを担いだまま待たされるんですから、余計に疲労します。
どうしてこんなに待たせるんだ?と思いましたが、どうやらそれはバーベルがぴたりと静止するのを待っていたからかも知れないです。
不思議なもので、高校生たちがバーベルを担いで顔をあげても、バーベルがヤジロベーのようにゆっくりと上下に振れている事があるんです。
どうやらそれが完全に止まるまで合図をかけないようです。
これは不思議です。
普段、パワーリフティングの試合のスクワットで、バーベルがあんな風に上がったり下がったり振れているのは見た事がないからです。
どうしてあんなに振れるんでしょうか?
高校生たちは決して首でバーベルを担いでいる訳ではなく、しっかり背中で担いでいます。
バーベルを握る手幅はどちらかというと広めの生徒が多いです。
それならばあんな風にバーベルが振動するはずはないんですが、どうにも不思議です。
さらに試合を見ていると、高校生のフォームに共通点がある事に気がつきました。
みんな、しゃがむ時は真っ直ぐ正面を見ているんですが、しゃがみ切って切り返す瞬間に目線を上に向けて、天井を見ながら立ち上がる感じになるんです。
全員そういう目線でやっていました。
ということは、そういう風にするように指導を受けているという事なんでしょう。
部活動としてのパワーリフティングは、筋トレだけではなく、フォームの指導もかなりの割合を占めると思います。
高校生たちはバーベルを担ぐ時、背中の位置をしっかりと決めるために入念にポジョションを作ります。
それを見ただけで、ただの筋トレファンではなくて、ちゃんとパワーリフティングを習っている人だとわかります。
そして全員、正面を見据えたまましゃがみ、切り返す瞬間に顔の位置はそのままで目だけ上を向いて立ち上がっていました。
おそらく部活の顧問と思われる男性が、終始大きな声をかけていました。
「はい、そこで蹴る!」「蹴れ!」「膝を外側に向けろ!」などと言っていました。
部活動なので、こういう掛け声は当然なんでしょうが、高校時代部活をやっていなかった僕からすると、選手は迷惑なんじゃないかと思ってしまいました。
高校生の選手たちの服装もみんな同じでした。
みんなONI(というブランド)のシングレットを着て、ONIのニースリーブとリストラップをつけていました。
でもシューズには特に決まりがないようで、皆ばらばらでした。
おそらく部活に入部した時に一括で購入するんでしょうね。
僕は2016年に初めてパワーリフティングの試合に出た時は、専用のギアやコスチュームを何も持っていませんでした。
ひどい話ですが、Tシャツに海パンで出場しました。
ベルトは持って行きましたが、試合の基準に適合していないということで使う事ができませんでした。
ニースリーブもリストラップも持っていませんでした。
完全な初心者なので、服装よりまずは経験を積んで実力をつけようと思っていたからです。
でも、部活動としてパワーリフティングをするならば、最初に一括ですべて買うんだと思います。
僕はその後、試合に出る度に道具を揃え、試合で使えるパワーベルト、吊りパン、リストラップを買いました。
まだデッドリフト専用ソックスやパワーリフティング用のシューズなどは持っていません。
いずれ買う事になると思います。
高校生の選手たちを見てみてもう一つ気付いた事があります。
それはスクワットを終えて、バーベルをラックに戻した後の動作です。
普通、大部分の選手はバーベルをラックに戻したら、そのまま後ろに下がって試技場から出ます。
でも、高校生の多くはバーベルをラックに戻した後、そのまま前に進んで試技場を後にするんです。
選手の正面には主審が座っているので、主審に向かって歩いて行き、右や左に曲がって退いていました。
選手たちはその都度主審から、
後から退場するように。
と指示を受けていました。
あれだけの生徒がバーベルを下ろしたあと、そのまま前に進むという事は、普段からそういうトレーニングをしているという事だと思います。
つまり、彼らはパワーラックでスクワットをしているのではなく、試合と同じ試技台でスクワットをしているのかも知れません。
ジムでパワーラックでスクワットをすると、自分の前は壁で、大抵はそこに鏡が貼ってあります。
なので、バーベルをラックに戻した後、そのまま前に進む人はいません。
絶対と言っても良いぐらい、バーベルを下ろしたら、後ろに退きます。
でもあの高校生たちは多くが前に出たので、おそらく試合と同じ試技台で普段からトレーニングをしているんだと思います。
ということは、普段から左右の補助要員をつけた形でスクワットをしているんでしょう。
これは僕の予想ですが、試技台のところに選手が列を作って並んでいるとするならば、スクワットを終えた生徒はそのまま前に進めば、後ろの生徒がすぐにスクワットを始める事ができます。
もしかしたらそういう仕組みでトレーニングをしているのかも知れないです。
まあ、勝手な予想なので、全く間違っているかも知れないですが。
でも、もしそうならなんか羨ましいですよ。
僕はジムでスクワットをする時は、パワーラックを使って常に1人でやっています。
でも大勢の仲間がいて、補助要因までいて、次々に順番にスクワットをしていくなんて、楽しいと思います。
本当に羨ましいです。
ずっとスクワットの話を書いていますが、僕が最初から最後までちゃんとみたのはスクワットだけだったからです。
ベンチプレスが始まる時は、一度車に戻って仮眠をとっていました。
朝は4時半起きで、とても眠かったので、1時間ばかり仮眠をとっていました。
パワーリフティングの試合というのは、スクワットやデッドリフトは見ていて面白いですが、ベンチプレスはあまり面白くないんですよ。
理由は顔が見えないからです。
それに対してスクワットやデッドリフトは、選手によってやり方が本当にバラバラなので、見ていてとても面白いです。
でも高校生たちは、本当によく躾けられているようで、全員同じフォームでやっていました。
見事なまでにみんな同じ動きをしているので、普段のような人によってバラバラという面白さはなかったです。
でも、全く違った面白さがいろいろありました。
スクワットで一番凄かった高校生は、作新学院ではない男子でした。
59kg級の細い体で、第3試技は165kgを成功させました。
これは凄いです。
本当に凄いです。
165kgというと、74kg級の僕の公式ベストと同じです。
僕は10月の千葉県大会で、74kg級に出て170kgを成功させましたが、その後デッドリフトで失格になり、スクワットの170kgの記録も煙となって消えてしまいました。
なので、59kg級の高校生の記録は僕の公式記録と同じです。
凄い才能だと思います。
きっと将来は栃木県を代表する選手になると思います。
僕が59kg級に出ようと思ったら、命がけの減量をしなければならないと思います。
脂肪を全部落としても59kgにならないと思うので、筋肉も削る減量をしなければならないでしょう。
あまりにも過酷だろうから、きっとそこまで痩せることはできないと思います。
もし痩せられたとしても、もうフラフラでスクワットなんかできないと思います。
でも高校生の彼は59kg級でありながら165kgを成功させました。本当に凄いです。
スクワットは9人の高校生が3回ずつ試技をしましたが、全員しっかりと成功させました。
しゃがみが浅い生徒もいなかったし、立ち上がった後、審判の合図の前に動いてしまって失敗になる生徒もいませんでした。
みんな本当によく躾けられた、行儀の良い選手たちでした。
59kg級の男子はデッドリフトで195kgを引き切りました。
高校生のベンチプレスはほとんどまったく見ていなかったので、どのくらいの記録が出たのかわかりません。
100kgを挙げた高校生はいたんでしょうか?
一応、僕のベンチプレスの、74kg級での公式ベストは107.5kgなので、もしかしたらあの59kg級の男子は同じぐらい挙げたかも知れないです。
高校生のデッドリフトが始まった時、僕も自分の出番が迫っていたので、ベンチプレスのウォームアップをしていました。
なので、デッドリフトもほとんど見ていません。
生徒たちが試技をしているところは見えるんですが、電光掲示板の字が遠くて見えなかったので、何kgを挙げているかはわかりませんでした。
ベンチプレスのウォームアップを終えて、試技場に向かって歩いている時、あの59kg級の強い男子が、デッドリフトをしているのが見えました。
最後まで引き切ったところで、歓声があがりました。
そして彼がそれを下ろしたあと、電光表示板の文字が見えるぐらいに僕は近づいていたので、そのバーベルが195kgだと知る事ができました。
凄いです。
凄すぎます。
59kg級の高校生が195kgなんて、バケモノ級の凄さです。
74kg級の僕は10月の千葉県大会で190kgがびくともしなくて失格になりました。
なのにたった59kgしかない彼が195kgを簡単に挙げていました。
あの調子ならおそらく200kgでも挙がると思います。
彼はおそらく全国大会でも活躍している選手なんでしょう。
1人だけ規格外の強さでした。
賞状の授与と記念写真
僕のベンチプレスの試合は、高校生たちのパワーリフティングの試合がすべて終わってから始まりました。
賞状が出来るまでに少し時間がかかるので、高校生たちはそれを待っていました。
やがて賞状が出来上がって、メダルと共に授与が行われるんですが、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、表彰式は行われませんでした。
賞状とメダルが長机の上に並べて置かれ、それを選手たちが各自持ち去るという、寂しい授与になりました。
でも、高校生たちはお互いに、相手の賞状を読み上げて、「おめでとうございます。」と言って手渡しをしていました。
何とも心温まる微笑ましい場面です。
感染拡大防止の観点からするとどうなのか、という意見もあると思いますが、とても微笑ましい場面でした。
僕も高校生に戻って作新学院のパワーリフティング部に入りたいと思いました。
そして全員に賞状が行き渡った後は、皆で並んで記念写真を撮っていました。
なんとも羨ましい場面です。
僕も以前は、所属しているチームの人々とああやって試合後に写真を撮っていましたが、コロナが始まってからはチームの人々が誰も試合に出て来なくなってしまって、今年も去年も僕はずっと1人で試合に出てきました。
ああいう仲間に囲まれた試合というのは、本当に憧れます。
チームのみなさんにも早く戻ってきて欲しいと思います。
栃木県にいとこが住んでいました。
僕が中学生だった頃、いとこが栃木県に住んでいました。
場所は益子(ましこ)です。
何回か遊びに行った事がありますが、凄い僻地でした。
その家には三姉妹がいて、長女が僕の3つ上、次女が僕の1つ下、三女が僕の3つ下でした。
その三姉妹の家から中学校までがとても遠く、片道2.7kmありました。
僕は一度、その通学路を車で通った事があります。
両側を林に挟まれた狭い道路でした。
その3姉妹は毎日往復5.4kmの通学路を往復していました。
かなり体力がついたと思います。
その3姉妹はその後、全員真岡女子(もうかじょし)高校に進学したそうです。
真岡鉄道の真岡駅のすぐ近くの高校のようです。
もしかしたら作新学院の高校生たちも、中学時代は遠距離の徒歩通学をしていたのかも知れません。
以上が、栃木県の高校生のパワーリフティングの試合を見て感じた事でした。
ずばり、羨ましかったです。
ありがとうございました。
内部リンク「2016年12月パワーリフティング千葉県大会に初出場」