こんにちは、鹿野一郎です。
今回は、金のバーベル、銀のバーベルというタイトルにしましたが、内容は比重と体積の話です。
決してお金の話ではありません。比重について調べたことと考えたことをだらだらと述べたいと思います。
バーベルは鉄で出来ている
バーベルは鉄で出来ています。
もちろん、誰でも知っていますよね。
鉄の比重はおよそ7.9です。
これは昔から知っていました。同じ体積の水と比較すると、重さが7.9倍になるという事ですね。
バーベルを鉄で作るのは、おそらく安全性や値段の問題、加工のしやすさ、耐久性などを総合的に考えて最もふさわしい材質だからだと思います。
でももっと小さくて重いバーベルは作れないのでしょうか。
犬の散歩をしながら、そのような事を考えていました。
アルミホイールとマグネシウムホイール
自動車のタイヤで鉄のホイールをアルミホイールに交換する人は多いと思います。
僕も昔は自分の車のホイールをアルミに交換していました。
見た目がカッコよくなるからでしたが、ホイールを鉄からアルミに変えるとかなり軽くなります。
鉄の比重が7.87なのに対してアルミニウムの比重は2.70しか無いんですよ。これは鉄のおよそ3分の1です。
なので鉄のホイールをアルミホイールに交換すると、車が軽くなって、燃費もよくなるんですね。
僕が若い頃は、マグネシウムホイールというものも耳にしました。
今でもあるのかも知れませんが、最近は以前ほど車に興味がないので、とんと聞かなくなりました。
で、そのマグネシウムの比重はなんと、なんと1.74です!
これは鉄の5分の1程度の重さしかありません。
マグネシウムって、軽いんですね。
なので、逆にアルミニウムやマグネシウムでバーベルを作ったら、とても巨大なものになってしまうでしょう。
20kgのプレートを作ろうと思ったら、直径を現行のバーベルの450mmに合わせると、アルミニウムだと厚さが3倍、マグネシウムだと厚さが5倍になってしまいます。
それを持ち上げている人を、事情を知らない人が見たら、すごい力持ちに見えるでしょうね。
マグネシウムで100kgのバーベルを組んだら、普通の鉄の500kgのバーベルとほぼ同じ大きさになるので、それを持ち上げたら超人に見えます。
比重の大きい金属
では、逆に重いバーベルを作ろうと思ったら、材質は何が良いのでしょうか。
僕はてっきり、ウランとかプルトニウムのように原子番号の大きい元素が重いんだと思っていましたが、調べてみたら違いました。
一番重たいのは、なんと金でした。金の比重は19.32で、鉄の2.44倍にもなります。
なので金でバーベルシャフトを作ったら、普通のオリンピックシャフトの大きさでも重さが49kgにもなります。
普通のオリンピックシャフトは20kgですが、鉄ではなく金で作ると、およそ49kgにもなります。
金で作ったバーベルシャフトの耐重量はどうなんでしょうか?
金は非常に柔らかくて加工がしやすい特性があるので、金でバーベルシャフトを作るのは現実的ではないですね。
プレートをつけて持ち上げたら、すぐにひんまがってしまうでしょう。
でもプレートならば大丈夫なんじゃないでしょうか?
金で20kgのプレートを作り、プレートの直径を通常の20kgプレートと同じにしたら、厚さは1/2.44倍になります。
通常のプレートのおよそ0.41倍です。
とても薄いプレートができますね。
競技用プレートの厚さ
パワーリフティングの試合で使っている、持ち手の穴がなくてペッチャンコのプレートの厚さは何mmなのか、インターネットで調べてみましたが、よくわかりませんでした。
おそらく20mm程度しかないと思うんですが、よくわからないので、自分で計算することにしました。
プレートの直径は450mmで、中心に直径50mmの穴が空いています。
これで断面積が計算できるので、あとは体積がわかれば厚さが計算できます。
計算すると断面積は3140平方センチメートルになりました。ぴったり円周率の1000倍です。
美しいですね。
次に鉄の比重は7.87なので、1リットルあたりの重さが7.87kgになります。1000立方センチメートルで7.87kgです。
なので20kgの鉄の体積は、2540立法センチメートルになります。
これを断面積の3140平方メートルで割ると、厚さはなんとわずか8mmです。
パワーリフティング用の平べったいプレートは確かに薄いですが、8mmということはないと思います。
実際のプレートは完全にぺっちゃんこではなく、メーカー名や重さが刻印してあるので、それによって若干の凹凸ができます。
さらに表面にペイントがしてあるので、ペイントの厚みの分だけプレートの厚みも増します。
実際の厚さはおそらく10mm強ぐらいではないでしょうか。
僕の予想の半分ぐらいですね。
12月に試合に行くときに、プレートの厚みを測ってきたいと思います。
金のプレート
さて、いよいよお待ちかね、金のプレートの話です。
金の比重は鉄の2.44倍なので、20kgの金でプレートを作ったら、厚みは鉄のプレートの1/2.44倍になります。
ペイントをしない前提で、8mmを元に計算すると、なんと厚みはたったの3.28mmです。
こんなに薄いなら、持つ時に注意してもたないの自重でひんまがってしまいそうですね。
僕が持っているiPhoneの厚さが7mm程度なので、その半分もありません。
薄すぎますね。まるでレコードです。
値段も高そうですね。
調べてみたら今は金は1gで7000円もするそうなので、20kgの金だとなんと、1億4000万円にもなります。
すごいバーベルプレートですね。
僕はバーベルは大好きな人間ですが、もし何かの間違いでこんなプレートを貰ってしまったら、迷うことなく即換金してしまうでしょう。
まるで宝くじ並みのプレートです。
厚さ3.28mmも驚きですが、値段が1億4000万円の方がもっと驚きます。
信じられませんね。
僕が通っていた中学校の体育館は、僕が在学中に放火されて全焼しましたが、その時に学校の先生が言っていた言葉によると、体育館を作るのに1億5000万円もかかったのだそうです。
でも金の20kgプレートは1枚で1億4000万円です。
そんなものを作る人はいないでしょう。
世の中に金持ちはたくさんいるのを知っていますが、ホームジムに金のプレートを作る人はいないと思います。
プレートを一式で200kgぐらい揃えたら、14億円にもなってしまいますよ。
世の中広しと言えども、ホームジムに14億円もかけて金のプレートを作るお金持ちは多分地球上に1人もいないと思います。
ホテル三日月の盗難事件
金のプレートなんか作ったら、盗難の危険性がありますよね。
以前、随分昔ですが、千葉県のホテル三日月にあった黄金風呂が盗まれたというニュースがありましたね。
調べてみたら2007年の5月だったそうです。鴨川ホテル三日月で1億2000万円相当の黄金風呂が盗まれたという事件がありました。
重さが80kgもある浴槽がホテルの10階から盗み出されたという信じられない事件でした。
盗まれた黄金風呂は返ってこず、犯人もわかっていないようですが、その後ホテルは自腹で黄金風呂をまた設置しました。
2014年に家族旅行でそのホテル三日月に行き、黄金風呂に入ってみましたが、あれを人目につかずに持ち出すのは不可能だと思いました。
話がそれますが、80kgで1億2000万円ということは、1gあたり1500円ということになりますね。
今は1g7000円なので、だいぶ安かったんですね。
値上がりを続ける金
金が値上がりをし続けているのは知っています。
以前友達が金を買うときに一緒にどうだと誘われた事がありましたが、金はいつか必ず暴落すると思っていたので買いませんでした。
お金もそんなになかったし。虎の子のお金を危険に晒したくなかったし。
でもその当時2000円程度だった金は、数年で4000円にまで値上がりし、今はなんと7000円ですか。
買っておけば良かったですね。
買った友達は笑いが止まらないでしょう。
ここまで金のバーベルの話ばかりしてきましたが、銀でバーベルを作ったらどうなるのでしょうか。
銀の比重は10.50で、鉄の1.33倍あります。
なので、同じ重さのプレートを作るならば、鉄よりも薄いものが作れるでしょう。
参考までに銅の比重は8.96でした。
金銀銅を比重の大きい順に並べても、やはり金銀銅の順なんですね。
軽い金属
最後に、一番比重の小さい金属を調べてみたら、それはリチウムでした。
原子番号は3です。
原子番号が小さいので軽いのはわかります。
でもその比重はなんと、0.53でした。
水のおよそ半分です。
リチウムというのはバッテリーで使われていますが、水より軽いんですね。
リチウムでバーベルを作った場合、水に浮くほど軽いという事です。
もっというと人間より軽いです。
それじゃあ、もうバーベルじゃありませんね。
バーベルの重さ
最後におまけとして緯度と重力の関係を追加しておきましょう。
地球は西から東に自転しています。
およそ24時間で360度回転しています。
なので赤道上に立っている人は下から上に向かって遠心力を受けます。
なので北極点や南極点に立っている人よりも、遠心力の分だけ体が軽くなるんです。
重力加速度は9.8メートル毎秒毎秒と言いますが、これは基準の値で、赤道直下では9.77メートル毎秒毎秒ぐらいになり、北極点では9.81メートル毎秒毎秒ぐらいになります。
これによると北極点で測ってぴったり100kgのバーベルを赤道直下まで持っていくと、400gだけ重くなることになります。
同じバーベルでも、北極と赤道直下では0.4パーセントの重さの違いが出ます。
競技用のバーベルは重さが正確に作られていて、ウエサカというメーカーが作っているS型競技用ラバープレート・オリンピックモデルの場合だと、重量誤差をプラスマイナス0と表記しています。
この表記は信じますが、それはどこで測ってプラスマイナス0だったのでしょうか。
測定した場所と、試合が行われる場所の緯度が異なっていたら、わずかに重量のズレがあります。
それとも測定場所の緯度によって、誤差を修正するような処理をしているのでしょうか。
もしそこまでやっていたら大変な正確さと労力が払われていることになりますね。
今回はこんなところです。
ありがとうございました。