こんにちは、鹿野一郎です。
バーベルの話とは関係ないんですが、夏なのでカブトムシの話をしたいと思います。
僕は娘が幼稚園の年長さんだった頃から去年まで、6年間カブトムシの飼育をしていました。
カブトムシについて、世の中の多くの人はあまり知らないと思いますので、簡単に説明します。
カブトムシの寿命はおよそ1年です。
クワガタのように越冬して5年も6年も生きる事はありません。
8月中旬ごろに卵が生まれ、卵はすぐに孵化して、体長5mm程度の小さい幼虫が出てきます。
幼虫は腐葉土や専用マット(カブトムシ飼育用の専用の腐葉土)を食べて大きくなります。
2回脱皮して、6月頃にサナギになり、7月の上旬ごろに羽化します。
つまり成虫になって土の中から出てきます。
成虫は夜行性で、夜の間にクヌギやコナラの樹液を飲んで、昼間は寝ています。
オスとメスが出会うと交尾をして、雌はその後産卵をします。
産卵の時期は大体8月の下旬ごろです。
そして成虫は9月末から10月中旬までにはみんな死んでしまいます。
成虫として活動できる期間は7月から、長くても10月中旬ぐらいまでで、最大で4ヶ月程度です。
なので6年間飼育していたというのは、同じカブトムシを6年間飼っていたのではなく、親から子へ、子から孫へ、孫からひ孫へと世代交代しながら、6世代に渡って飼育していたという事です。
カブトムシの脱走
カブトムシを飼育していて、脱走されたことがあります。
それも1匹や2匹ではありません。
おそらく10匹以上に逃げられたと思います。
中でも2016年の大脱走ははっきりと覚えていますし、とても興味ぶかい出来事でした。
カブトムシを飼育していると、毎年数が増えていきます。
もちろん、外部から捕まえてきたカブトムシも混ぜて、外部の血を入れるようにしていました。
多い時は50匹ぐらいの成虫を飼っていましたが、見事に脱走されました。
初めは透明なプラスチック製の米櫃のような容器でカブトムシを飼育していましたが、どんどん数が増えるので、2016年は段ボールで飼育することを試してみました。
カブトムシのメスがダンボールを食い破って脱走する事は知っていました。
だからダンボールを二重にして、さらに側面の大部分にクリアケースを貼り付けたり、板を貼り付けたりして、食い破ることが出来ないようにしていたんです。
でも2016年7月のある日、朝起きてウッドデッキの段ボールを見ると、中のカブトムシがいなくなっていました。
7月15日の日記には以下のような記述がありました。
カブトムシに脱走された。
朝5時半に起きて、真っ先にカブトムシの様子を見てみると大段ボールに穴が開いていた。
一番下の角だ。大段ボールと段ボールを2重にしてあって、内側は養生テープが貼ってある。
外側はクリアケースを貼ってあるが、クリアケースの無いところから逃げられた。
側面積の8割以上はクリアケースや下敷き、ベニヤ板で補強してあるが、補強されいない角を狙って脱走された。
確率的にはかなり低い話なので信じられなかった。
考えてみればカブトムシは固い土を削って地中30cm程度まで潜るものなので、段ボールを二重にして養生テープで補強しても苦もなく食い破るのだろう。
クリアケースが役に立たなかったのは残念だ。(娘)が小学校に行った後、段ボールの土をすべて取り出してみると穴は3箇所あった。
段ボールの底を掘って諦めた跡と、段ボールの別の下の角を破ろうとしてクリアケースに阻まれて諦めた跡があった。
こう考えるとクリアケースは一定の効果はあったのだろう。
すき間なく側面をすべてクリアケースで覆えば脱走は回避できたんだと思う。
昨日せっかくバケツの蓋を買ったのだから、大段ボールのメスはバケツに移せば良かった。
カブトムシの力を過小評価していた。
ここに書いてあるように、まずは段ボールの底に穴が開いていました。
この穴は裏まで貫通していましたが、ダンボールの下はウッドデッキなので、流石にそれを食い破る事はできなかったようで、その穴は諦めたようです。
そして次の穴はクリアケースで突き当たりになり、そこで止まっていました。
で、逃げられた穴は、ダンボールの下の角ですよ。
これは意外でした。
カブトムシがダンボールを食い破る時は、土の上に出たままダンボールを食い破ると思っていたので、土の高さの側面はぐるり360度クリアケースで囲んでいました。これで大丈夫だと思ったんですが、カブトムシはまるでモグラのように地中を自由に移動できるようです。
カブトムシは地中でコミュニケーションが取れる?
その段ボールにはカブトムシが5匹入っていましたが、全員逃げてしまいました。
つまり、同じ一つの穴から全員出て行ったということになります。
果たしてカブトムシは地中でコミュニケーションが取れるんでしょうか?
こっちに穴があるぞ!
という情報を全員で共有して逃げていったのでしょうか?
それとも、どこかに脱出航路があると、本能的に察知する事はできるんでしょうか?
実はこれに似た話をインターネットで読んだことがあります。
カブトムシを10匹ダンボールに入れて、枕元に置いて寝たら、朝になって全員脱走していたという話です。
ダンボールに開いていた穴はたったの1つで、その穴から10匹全員出ていったという話でした。
そして不思議なことに、逃げた10匹のカブトムシは家の中をどう探してもどこにもいなかったという話です。
段ボールの中には腐葉土も枯れ木も枯れ葉も何も入れていなかったということなので、穴が開いたら目で見て全員穴に突進したという可能性があります。
でも夜間の話だし、段ボールの中なので、果たして目が見えるのでしょうか。
カブトムシは夜行性だから見えるんでしょうか。
カブトムシの目は複眼で、2万個以上の目からなっているというのは本で読んだことがあるんですが、本当の暗闇でも目が見えるんでしょうか?
ちょっとこれは僕にはわかりません。
この話は知っていましたが、まさか地中に開いた穴から全てのカブトムシが出ていくとは思ってもいませんでした。
カブトムシは地中でもコミュニケーションが取れるんでしょうか?
毎年大量のカブトムシが手に入るなら、実験して真相を突き止めることができると思いますが、カブトムシの飼育は去年で終わりになってしまったので、残念ながらこれ以上の真相究明はありません。
事の始まり
事の始まりは娘が幼稚園の年長さんだった、ある夏の朝でした。
僕はその日から夏期講習が始まるため、前の晩から少し緊張していました。
その日、娘は朝の5時半に目を覚まし、
セミを取りに行こう。
と誘います。
僕は、勘弁してくれよ。今日から夏期講習なんだよ。なんで朝っぱらからそんなことをしなければならないんだよ、と思いましたが、幼稚園生が夏休みにセミを捕まえたいというのはごく当たり前の話なので、渋々付き合うことにしました。
家に網も虫かごもなかったので、手ぶらで捕まえに行きました。
で、うちのすぐそば(50メートルぐらい)の公園に行きました。
その公園は結構広くて、面積は2ヘクタールぐらいあります。
その公園にはコナラの木が3本あるんですが、何とコナラの木にいきなりクワガタのオスがいました。
あっ!クワガタだ!
と言ってすぐに捕まえました。
クワガタを捕まえるなんて、人生初めての事でした。
子供の頃、友達と連れ立って、早朝の森に昆虫採集に行きましたが、僕は一度もカブトムシやクワガタを捕まえたことがなかったんです。
これが人生初のクワガタでした。
クワガタを捕まえてしまったら、もうセミなんかどうでも良くなりました。
すぐに家に帰って、飼育ケースを用意しました。
そして枯れ葉や枯れ枝を用意し、餌も購入しました。
次の日、また娘が5時半に起きてきて、クワガタを取りに行こうと言います。
僕は、クワガタなんて滅多に取れないんだよ、昨日はすごい偶然だったんだよ、と説明しましたが、どうしても行くというので、2日続けて行きました。
すると、なんと昨日よりもっと大型のクワガタがいました。
木の枝の高いところにいたので、傘で落っことして捕まえました。
そしてさらに次の日、娘に絶対に空振りに終わると散々言いながら公園に行くと、今度は芝生の上をカブトムシのメスが歩いていました。僕はびっくりして、次に大喜びしました。
人生初のカブトムシゲットです。
そしてさらにその次の日にはカブトムシのオスをゲットしました。
なんでこんなにカブトムシとクワガタがいるんだ?と疑問でしたが、こうやって僕はカブトムシのペアを手に入れました。
このペアが33個の卵を産み、14匹の幼虫がかえりました。この時からカブトムシの飼育が始まったのでした。
ペットボトルからベランダボックスへ、そしてバケツへ
最初の年は幼虫を2リットルのペットボトルで1匹ずつ個別飼育していました。
週に1回は腐葉土に水を与え、秋と春には腐葉土の入れ替えをします。
真冬は寒さで幼虫が死なないように、ペットボトルを新聞紙で包んで、段ボールに入れ、庭の物置にしまっておきました。
そして夏に十数匹の成虫が出てきました。
この時は本当に嬉しかったです。
十数匹のカブトムシが産卵したら恐ろしい数の卵が生まれると思ったので、ペットボトルをどんどん集めましたが、保管場所がないことに気がついたので、ホームセンターで120リットルのベランダボックスを買ってきました。
プラスチック製の大きな入れ物です。
18リットルの灯油缶が4つ入るとか5つ入ると宣伝していたものです。
そこに120リットルの腐葉土を入れて、カブトムシの幼虫を入れました。
幼虫1匹につき、腐葉土が2リットル必要なので、そのベランダボックスの定員は60匹です。
このようにして大量のカブトムシをベランダボックスで飼育すると、手間がかからずに楽でしたが、幼虫の姿を見る機会も減り、少し寂しくなりました。
ある日、ベランダボックスを開けてみると、無数のアリがたかっていました。
幼虫が危ないと思ったので、可能な限りアリを駆除しました。
もちろん、いくらとってもキリがないんですが、黙ってみている事はできなかったんです。
翌日、庭中にアリを駆除する薬を撒いて、庭のアリは全滅しました。
妻はそれをみて、可哀想だと言っていました。
幸い、アリに殺された幼虫はいなかったようですが、もうあの恐怖は経験したくなかったので、翌年からはバケツでカブトムシを飼うことにしました。
バケツの容量は12リットルなので、定員は6匹です。
そのバケツを10個以上買って、蓋もつけて、庭ではなくウッドデッキの上におき、輪ゴムやコーヒーの粉末などを使ってアリが近寄らないようにしました。
そうやってカブトムシを飼育していました。
カブトムシは木登りが得意
幼稚園生だった娘は喜んで成虫をバケツから取り出して、部屋で遊んでいました。
カブトムシの成虫を自由にすると、みんな柱をどんどん登っていきます。
天井に届くとそこで止まります。
次々にカブトムシが柱を登り、天井付近にはカブトムシが数珠つなぎになります。
そしてそのままずっと動かなくなります。
これはまさに本能ですね。
低いところにいると、犬や猫に遊ばれて殺される可能性があります。
人間に捕まる可能性もあります。
だから木の上に登り、日光が当たらない葉っぱの影などで日中は眠るんです。
カブトムシの飼育を始め、採集も始めた頃、コナラやクヌギの根っこ付近の土の中にカブトムシが潜っている可能性が高いと読んだことがありますが、僕の経験でいうと、コナラやクヌギの根っこ付近の土の中からカブトムシを捕まえた事はないです。
カブトムシがたくさんいるのは、なんと言っても樹液が出ているコナラやクヌギです。
ここが圧倒的に多いです。
他には木の枝の上などにいます。
カブトムシの生息の条件
カブトムシはどこにいるんでしょうか?成虫は畑の堆肥の中に卵を産みつけます。
原生林の腐葉土の中に卵を産みつけるよりも、畑の堆肥の中に産む事の方が遥かに多いようです。
幼虫は堆肥を食べて育ちます。
そして成虫になると堆肥は食べなくなり、代わりに樹液を飲むようになります。
という事は、成虫のメスが卵を産みつけるのは、比較的近くに広葉樹林がある畑の堆肥の中です。
カブトムシは、生まれた幼虫が生きていける環境でしか卵を産まないそうです。
現に100円ショップで買ってきた腐葉土では産卵しませんでした。
なので、畑の堆肥があっても、周りに全く広葉樹林がなかったら、卵はうまないと思います。
畑と広葉樹林が隣接しているところには大量のカブトムシがいる可能性があります。
僕がこれまでに最も多くのカブトムシ、クワガタを捕まえた公園はそれほど広くなく、おそらく縦20メートル、横50メートルぐらいです。
でもその公園にはコナラの木が5本あり、公園の隣は畑なんです。
しかもコナラの木からは樹液が出ていたので、朝も夕方も犬の散歩の時に寄ってみるとカブトムシやクワガタがいるんです。
もっとも多い時は一度にクワガタを3匹捕まえたこともあります。
カブトムシの初心者の人はなるべく人里離れた田舎へ探しに行こうとするようですが、田舎か都会かというのは全く関係ありません。広葉樹と畑があればカブトムシはいます。例え都会でも。
カブトムシは早朝に捕まえる?
カブトムシを捕まえるなら、早朝に出かけるべきと思っている人も多いと思います。
僕も子供の頃はそう思っていたので、朝早く起きて遠征していましたが、実はこれもあんまり関係ありません。
7月はじめの頃はなかなかカブトムシに出会うことができませんが、8月になると真昼間でもカブトムシと遭遇することがあります。
これは7月より8月の方が多くの成虫が土から出てきて、供給が需要に追いつかなくなるからです。
樹液の出るところはそんなに多くないので、カブトムシの数が増えてくると、樹液にありつけないカブトムシが出てきます。
強いカブトムシが腹いっぱいになって帰っていくと、弱いカブトムシたちが食事をしにきます。
そしてそれらが帰った後にもっと弱いカブトムシたちがやってきます。
こうして24時間いつでも樹液にはカブトムシがたかっている状況になるんです。
食事を終えたカブトムシが寝床に帰る時、偶然人間が通りかかると、
「あっ!カブトムシが芝生の上を歩いてる!」
となるんですね。
カブトムシを捕まえたいなら、犬の散歩がうってつけです。
どうせ公園に行くんだから、畑が近い公園に行って、クヌギやコナラの木を見て回れば、すぐに捕まると思います。
カイコの飼育
僕は子供の頃、カブトムシもクワガタも捕まえることができなかったので、デパートでノコギリクワガタを買ってきて飼育していました。でもすぐに死んでしまいました。
なんか時代の変化を感じますね。
今時デパートでクワガタなんか売ってないですよね。
クワガタやカブトムシはホームセンターで売っていますが、僕が子供の頃はホームセンターなんてなかったです。
僕が子供の頃住んでいた家の近くには桑の木があり、そこでカイコが自生していたので、それを捕まえてきて、飼っていました。
近所の家もみんなカイコを買っていました。
おそらく毎年200匹ぐらい買っていたと思います。
あの経験は僕にとっては貴重な経験でした。
カイコが口から糸を出して、自分を包むマユを作っていく様子はとても神秘的で素晴らしかったです。
小学校5年生まで東京に住んでいましたが、その時までカイコを飼っていました。
娘はカイコは見たことすらないと思いますが、その代わり6年間もカブトムシの飼育をしていました。
きっとこの経験も娘にとって重要な経験になるでしょう。
デパートで買ってきたノコギリクワガタを飼うのと、自分たちで捕まえたカブトムシを6世代にわたって飼育するのは全く違う経験だと思います。
ありがとうございました。