こんにちは、鹿野一郎です。
今回はトレーニングと年齢について考えてみたいと思います。
例によって真剣な考察ではなくて、ダラダラとまとまりのない考えを述べたいと思います。
1 ベンチプレスの個人的限界値
僕は今年で54歳になります。
パワーリフティングを始めてもうすぐ5年になりますが、トレーニング自体は若い頃からやっていました。
若い頃は、トレーニングと言ったらベンチプレスのことで、胸と腕ばかり鍛えていたようなものでした。
ベンチプレスは最高で120kgまで挙げたことがありますが、120kgが挙がった事はこれまでで1回しかありません。
110kgなら何回も挙げていますが、僕に取ってベンチプレスの120kgというのは事実上の上限値なんです。
ベンチプレスの重量は、ここのところ10年ぐらい頭打ちで、もうそろそろ年齢的にも限界かと思いますが、スクワットとデッドリフトはどんどん伸びています。
感覚としては今よりも来年、来年より再来年の方が強くなると思います。
一体、何歳ぐらいまで強くなるんだろうかと考えなくもないですが、なんとなく60歳ぐらいまではパワーアップし続けられるような気がします。
ベンチプレスは若いことから散々やってきましたが、スクワットやデッドリフトはちゃんとやるようになってまだ5年弱なので、まだまだ伸びる余地があるように思います。
そう思うと、ベンチプレスが頭打ちなのは年齢のせいではなく、トレーニングの量や質の問題なのかと思えるようになります。
うまくやればまだまだ伸びる要素はあるんじゃないでしょうか。
2 ベンチプレスの女子の日本記録
ちなみにパワーリフティングの74kg級では、ベンチプレスの日本記録は、なんと211.5kgです!
これはノーギアでの記録です。
僕のスクワットやデッドリフトよりも強いです。
脚の力が腕、胸に負けるなんて、いくら相手が日本記録でもちょっと悔しいです。
ちなみに女子のベンチプレスの日本記録(ノーギア)は次のようになっています。
47kg級 80.5kg、 52kg級 100kg、 57kg級 105kg、 63kg級 105kg、 69kg級 95kg、 76kg級 85kg、 84kg級 95kg、 84kg超級 88kg
僕のベンチプレスの試合での公式記録は2005年のベンチプレス千葉県大会が110kg、2019年12月のパワーリフティング千葉県大会が107.5kgなので、何とか女子の記録には勝ちました。
ベンチプレスで僕より強い女の人が日本にはいないとわかって少しほっとしました。
記録が一番良い階級は57kg級と63kg級の105kgですね。それ以降は体重気増えても記録が伸びていません。
体重が重い方が有利だと思うんですが、必ずしもそうではないんですね。
3 パワーリフティングの年齢区分
パワーリフティングの年齢区分では一般部というのは24歳から39歳までで、40歳をすぎるとマスターズになります。
厳密には一般部には年齢制限がなく、19歳から23歳までがジュニア、40歳以降がマスターズになります。
40代がマスターズ1、50代がマスターズ2、60代がマスターズ3、70代がマスターズ4です。
そうやって年齢で区切るということは、40代の人々と30代の人々では、30代の人々の方が有利ということなんでしょう。
でも果たして本当にそうなんでしょうか。
例えば野球とかサッカーの選手だったら、確かに20代または30代がピークで、40をすぎると能力が衰えていくと思います。
でも、パワーリフティングは単なる筋力の話で、心肺持久能力はほぼ関係ありません。
なので、結構年齢が行ってもパワーアップは続くのではないかと思います。
現に僕が所属しているパワーリフティングのチームでも、50歳近くてとても強い人が何人かいます。
昔からそんなに強かったのかと尋ねると、そうでもなかったようです。
壁にぶつかって伸び悩むといろいろな方法を試して、うまく行くとベストを更新できるそうです。
でもまた次の壁にぶつかって伸び悩み、再びいろいろな方法を試して、また壁を乗り越える。
それの連続だったそうです。
つまり、かつてはもっと強かったけど、年齢のため最近は記録が衰えてきたという話ではないんです。
4 マスターズ3、4の人々
パワーリフティングの試合にはたまに、60代、70代の選手の人もいます。
さすがに年齢がいっているので、それほど良い記録を出す訳でもないですが、あの方達はどうなんでしょうか。
かつては強かったけど、今は衰えたのか、それとも、そもそも始めたのが年を取ってからで、今でも記録が伸びているんでしょうか。
気になるところですが、これはなかなか聞きづらいことなので、確かめることはできないです。
でも60代、70代で僕よりもベンチプレスの強い人がいるのも事実なので、僕はもっと頑張りたいと思います。日本記録を調べてみると、とんでもないおじいいさんがいる事がわかりました。
ベンチプレスの男子マスターズ4(70歳から79歳)のノーギアの日本記録を見てみると、つぎのようになってます。
59kg級 95kg、 66kg級 115kg、 74kg級 122kg、 83kg級 130kg、 93kg級 97.5kg、 105kg級 90kg、 120kg級 95kg、 120kg超級 95kg
70過ぎのおじいさんとは思えないパワーです。
しかも66kg級、74kg級、83kg級の記録は僕のベストよりも良いです。
70過ぎで体重が66kg以下のおじいさんにベンチプレスで負けるというのは、悔しいです。
僕は何でこんなに弱いんでしょうか。
それはトレーニングが足りないからです。
だからもっとがんばります。
70過ぎの選手に負けるのは悔しいです。
また、僕が70歳を過ぎたときに、今より強くなれていたら嬉しいです。
5 足の速いおじいさんとおばあさん
大昔のことですが、僕がまだ35歳だった頃、千葉県佐倉市の岩名陸上競技場ですごいおじいさんに会いました。
その日、僕は友達と100m走のタイムを測るために競技場に行きました。
岩名陸上競技場は、当時は100円払えば自由に競技場を使えたんです。
今がどうなっているのか知りませんが、おそらく変わっていないでしょう。
もちろん競技場を借り切る訳ではなく、他の人々もいますが。
借り切るとなったら途方もないお金がかかると思います。
昔、東京ドームを借り切って、職場の有志で草野球をやった事がありましたが、その時は平日の朝6時から8時で30万円でした。
もちろん電光表示板などは使えません。
とても高かったです。職場が負担してくれましたが(笑)。
陸上競技場ではスターティング・ブロックを借りて、100mのタイムを測りましたが、僕は13秒1でした。
友達の中ではダントツの速さでした。
他の友達は16秒台、17秒台だったので、圧倒的でした。
高校時代のベストタイムは12秒8だったので、高校時代と比べても、それほど衰えていませんでした。
これは結構自慢に思っていたんですが、そこにすごいおじいさんがいたんです。
年齢は70歳ぐらいに見えましたが、100mを12秒台で走るというおじいさんでした。
いろいろ聞かせてもらいましたが、若い頃からずっと陸上競技をやってきた訳ではなく、仕事を定年退職してから始めたそうです。
60歳から始めたのか、65歳から始めたのかはわかりませんが、その年から100m走を始めるというのが、まず驚きです。
そして、それで12秒台のタイムが出るという方がもっと驚きでした。
そんなことがあるのかと思いますが、その人は実際に僕の目の前にいたんです。
会社を辞めてから始めることと言ったら、庭いじりとか、カラオケとか盆栽じゃないかと思うんですが、そのおじいさんは会社を辞めてから100m走を始めたそうです。
そのおじいさんには連れが1人いました。
おばあさんで、そのおばあさんは深く帽子をかぶって長袖長ズボンの服装で、ずっとトラックを走っていました。
背の低いおばあさんでした。
おじいさんは、ランニングシャツに短パンだったので、服装が対照的でした。
そのおばあさんは100m走ではなく、中距離のランナーだと言っていました。
そのおじいさんとおばあさんは夫婦ではなく、競技を通じて知り合った友達だと言っていました。
やたらと明るくて、けらけらと笑い、僕たちが競技場を去るときはジャンプしながら両手を振ってくれていました。
そこまでされたら僕も同じようにジャンプしながら両手を振り返すしかありませんでした(笑)。
本当に陽気なおばあさんでした。
2人とも陸上競技のマスターズで活躍している様子でした。
僕があの歳になった時に、あんな風に走れるようだったらとても良いなと思いました。
6 胸板の厚いおじいさん
僕は昔は成田市体育館のトレーニングルームで友達と一緒にトレーニングをしていましたが、そこにもすごいおじいさんがいました。
年齢は当時63歳と言っていましたが、ベンチプレスは170kgを挙げると言っていました。
しかもそれは普段のトレーニングでの自己記録ではなく、試合で出した公式記録だと言っていました。
今調べてみると、マスターズ3(60歳から69歳)のベンチプレスの日本記録は105kg級だと181kgです。
あのおじいさんはかなりごつい体をしていて、胸板は途方もなく分厚かったです。
でも体重は100kgはなかっただろうと思います。
105kgというのは93kgより重く、105kg以下の階級なので、きっとあのおじいさんは105kg級だったんだと思います。
当時と今では日本記録も違うでしょうが、今の日本記録と比べても11kgしか違わないので、恐ろしく強い人だった事がわかります。
7 体力のピーク
人間の体力的なピークはプロスポーツやオリンピックを見る限り、やはり20代から30代なんでしょう。
でもピークをすぎた選手が引退せずにずっと競技を続けたら、40歳になっても50歳になっても常人離れした記録を叩き出すんだと思います。
衰えてもなお化け物なんだと思います。
昔の話ですが、大相撲の横綱千代の富士が、35歳で体力の限界を理由にして引退したときはショックでした。
35歳がピークで、あとは衰えるだけなのかと思うと、当時20代の若者だった僕は大きく打撃を受けました。
8 引退した後に復帰して活躍した人々
でもプロボクシングでは、アメリカのジョージ・フォアマンが「年を取ることは恥ずかしいことではないと証明する」と言って現役に復帰し、世界戦を制してチャンピオンに返り咲きました。
僕はこの話にはとても感動しました。
年を取る事が恥ずかしい事だと思ったことはありませんが、年をとって体力が低下するのは悲しいことだと思っていたので、この話には感動しました。
確かジョージ・フォアマンが41歳のときではなかったでしょうか。
ブランクが10年もあり、体型も大きく変わっていたので、無謀とも言われていたようですが、復帰後24連勝してチャンピオンに返り咲いたそうです。
全くもってすごい話だと思います。
そういえば、日本でも一度引退したテニスの伊達公子選手がカンバックし、見事にプレーしていた時期がありましたね。
確か25歳で引退した後、37歳でカムバックしたんだと思います。
サンデーモーニングで張本さんが、やめた方が良いと言っていましたが、伊達さんはカムバックした後、四大大会で勝ち星を上げるなど、素晴らしい活躍をしたと思います。
調べてみたら最終的に引退したのは、つい4年前だったんですね。
37歳で復帰し、46歳までプロとして戦っていたというのは、頭が下がる思いです。
そして、希望を与えてくれます。
9 年のせい?
世の中の多くの人は、中年になると運動能力が著しく低下し、100m走のタイムの話をすると、ほぼ確実に高校時代のタイムの話を持ち出します。
現在の自分のタイムではなく、一番速かった時のタイムの話になります。
それは、40歳、50歳の人が100mを全力で走ってタイムをはかるという発想がないからなんでしょう。
僕が35歳だった頃、職場で100m走が13秒1だったと話すと、「俺は12秒台で走れるぜ!」という話になり、「本当ですか?すごいですね!」というと、高校時代のタイムの話でした。「僕は先週競技場で測って13秒1でした。」というとみんな驚きます。
そして今じゃ100mなんて走れないよと言います。
中年の人が(僕も中年ですが)、体力の低下を意識して「もう歳かな?」という時、僕は内心、「違うでしょ。運動不足でしょ。」と思ってしまいます。
年のせいにするのは簡単ですが、実際は運動不足だと思います。
仮に中学時代や高校時代と同じ運動量を今でもこなしていたら、きっと「もう年かな?」というセリフは出ないんじゃないかと思います。
でも僕もパワーリフティングを始めてから全く走らなくなってしまったので、今はとても遅くなっていると思います。
僕が住んでいる千葉県佐倉市では秋に毎年100m走のタイムを計ってくれるスポーツイベントがあります。
一回も出た事がありませんが、今度出てみたいと思います。
去年はコロナで中止になってしまいましたし、今年も無理かもしれませんが、いつか出てみたいです。
ダラダラ書いてきましたが、要するに年をとっても体力は失いたくないという事です。
老化は脚からくると言いますから、スクワットは老化防止にとても有効だと思います。
でも筋トレだけでなく、走り込みもちゃんとやった方が良いんでしょうね。
わかっていても、ついサボってしまいます。
ちなみに頭の方はすでに随分衰えました。
若い頃に比べて記憶力が悪くなり、計算も遅くなりました。
トランプの神経衰弱で小学生の娘に勝てなくなりました。
でも、頭が衰えるのはそんなに悔しくないです。
体力が維持できていれば、それで良いです。
ありがとうございました。
体力と年齢その2へつづく