こんにちは、鹿野一郎です。
今時の若者は情報にも環境にも恵まれていると思います。
僕は若い頃、ウエイトトレーニングと言えば、ベンチプレスばかりやっていて、ベンチプレス100kgが人類の上限だと思っていました。
なので、100kgが挙がるようになると、満足してトレーニングをしなくなり、衰えて挙がらなくなると、慌ててまた鍛え直すということを何度も繰り返しました。
当時は世の中に遥か上の怪力がいることも知らなかったし、パワーリフティングという競技も知らなかったです。
また、トレーニングに関する知識もなかったです。
それに比べると、パワーリフティングの試合会場で見かける若者たちは、知識もあるし、パワーもあります。
一体この差はなんなのだろうと不思議に思ったこともありました。
試合に初めて出るように見える若いお兄さんが、何か特殊な靴を履いているのに気づいた時、インターネットで調べてみたら、スクワット専用シューズというものだとわかりました。
その時まで僕はそんなものがあるとは知りませんでした。
スクワットシューズというのは靴底が非常に硬くて、かかとが少し高くなっているシューズです。
1 スクワット専用シューズ
まず、スクワットをするときは重いバーベルを担ぐので、靴底は硬くなければいけません。
ジョギングシューズなどのようにクッションが効いている靴だと、バーベルを担いだときに靴底が潰れて不安定になります。
僕にも経験があります。
ある日、ジムにシューズを忘れて行ったことがありました。
仕方がないので、ジムでお金を払って借りました。
そしてパワーラックに160kgのバーベルをセットして、担いでみると、靴底がぐにゃりと潰れるのがわかりました。
まるでゼリーの上に立っているような感覚でした。
その状態でスクワットをするのはとても怖かったです。
僕は普段は学校上履きを履いてスクワットをしているので、靴底が潰れるという経験はありませんでした。
スクワットをするときは、まず第一に靴底が硬くなければなりません。
そしてスクワット専用シューズは、それだけでなく、かかとが少し高くなっているんです。
たまにスクワットでしゃがむとかかとが床から浮く人がいます。
そういう人はかかとが高くなっているスクワット専用シューズの方がスクワットをしやすいと思います。
僕はスクワット専用シューズを履いたことはありませんが、初出場にしか見えない若いお兄さんがそういう靴を履いているのをみると、「よく知っているな。」と思います。
それと「お金持ちだな。」とも思います。
スクワット専用シューズは値段が高くて20000円以上します。
しかもスクワットの時しか履かない靴です。
デッドリフトをするときにスクワットシューズを履いていたら、やりにくすぎてかなり記録が悪くなると思います。
スクワットのためだけにそれだけのお金を払えるというのは、お金があるんだろうと思います。
もしそういう若い選手が、パワーリティング専用ジムに通っていて、ジムの人々からいろいろ教わって試合に出てきているならば、それだけの知識を持っているのも理解できます。でもパワーリフティング専用ジムなんて、なかなか無いですよ。
僕が住む千葉県では、パワーリフティングのスーパースターの渋谷優輝さんが開いているジムがあるぐらいだと思います。
なので、渋谷さんのジムの若い選手が知識が豊富なのは理解できます。
でも他の人々はどうなのでしょうか。
全くの初出場で個人参加の人は、やはり何も知らないで出てくるのでしょうか。
僕が初めて試合に出たときは、もう若くありませんでしたが、右も左もわからないぐらい、何も知りませんでした。
2 パワーリフティングの持ち物
筋肉系ユーチューバーのSho FitnessのShoさんは、以前はフィジーク(ボディービルのように肉体美を競う競技)に出ていましたが、ある時からパワーリフティングに乗り換えました。
彼は初めてパワーリフティングの福岡県大会に出た時の様子も動画で公開されていますが、僕はそれをみて驚きました。
それは持ち物の多さにです。
初めてパワーリフティングの試合に出る人が、こんなにいろいろな物を揃えているのかと驚きました。
パワーリフティングをする人々は、トレーニングギアとして、腰に巻くパワーベルト、手首にまくリストストラップ、膝にはめるニースリーブ、腰にまくパワーベルトなどを持っています。
僕はパワーベルトしか持っていませんが。
その他に、こだわる人はスクワット、ベンチプレス、デッドリフトで靴を履き替え、さらにウェアも着替えます。
さらに手が滑らないように、特殊な液体を手に塗ったりします。
試合会場にもありますが、自分の物を持ってくる人もいます。
他にも体をほぐすためにテニスボールやストレッチ用のローラーのような物を持ってくる人もいます。
僕はそういうことを試合会場で見てだんだん覚えていきましたが、Shoさんはおそらく最初から全ての道具を揃えて試合会場に乗り込んだと思います。
おそらく綿密に調べて下準備をしたんでしょうね。
3 筋肉系YouTube
僕は2015年頃からYouTubeを見るようになりました。
ほとんどが筋肉系のYouTubeで、katochan33さん、カネキンさん、コアラ小嵐さん、Sho FitnessのShoさんのチャンネルをよく見ます。
僕は特にkatochan33さんのYouTubeから多くのことを学びました。
katochan33さんの動画からは、各種トレーニングの動作の注意点や減量をするときに食事の取り方などを学びました。
ボディービルダーの減量というものは、それまで僕が知っていた「あしたのジョー」の減量とまるで違っていて、驚きの連続でした。
今時の若者はボディービルをするにしても、フィジークをするにしても、パワーリフティングをするにしても、YouTubeから多くのことを学べるので、とても恵まれていると思います。
僕が若かった頃にはそんな便利なものは何もなく、知識もなかったです。
ボディービルは知っていましたが、パワーリフティングなんて知らなかったし、フィジークなんてありませんでした。
街中にジムもほとんどなかったし、市民体育館のトレーニングルームにトレーニングマシーンが少々ある程度でした。
僕が若かった頃は、トレーニングをしようにも、腕立て伏せや腹筋などの自重トレーニングぐらいしか方法がなかったと思います。
そういう意味で今の若い人々がとても羨ましいです。
4 若いのに
僕は若い頃は空手をやっていました。
39歳で空手をやめて、49歳でパワーリフティングを始めました。
空手をやっていた頃は、道場に週二日ほど通い、一撃必殺の破壊力を身につけるためにウエイトトレーニングを週に2回ほどやっていました。
また、自分より背の高い相手の顔を蹴るために柔軟運動もやっていたし、長時間の打撃戦にも耐えられるようになるために、ランニングもしていました。
運動に費やす時間がとても長かったんですが、結婚を期に全部やめました。
そして子供が生まれて、子育てに忙殺され、子供が幼稚園に通うようになってようやくウエイトトレーニングを再開できました。
もう空手をする気はありませんでした。
もう若くないし、そんなに時間も取れないので、あんなに激しい競技はできないと思ったんです。
それでパワーリフティングを始めました。
バーベルは殴ってこないし、蹴ってこないので、空手に比べるとゆったりとしたイメージがあります。
そう、僕はもう若くないし、血の気も昔ほど多くないので、空手をやめてパワーリフティングに転向しました。
激しい競技からゆったりとした競技に鞍替えしたつもりでした。
でも試合会場には若い選手がたくさんいます。
20代のお兄さん達はなぜパワーリフティングをしているのだろうかと不思議でした。
若いうちは野球、サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技、水泳などをやればいいじゃんと、思っていました。
もっと歳とを取ってからでもパワーリフティングはできるんだから、若いうちは別のことをすればいいじゃんと思っていました。
何人かの人に話を聞くと、元々野球をやっていたけど、補助のために筋トレを始めたら、こっちの方が面白くなって、野球をやめてパワーリフティングに乗り換えたという人や、元々円盤投げをしていたけど、筋トレが面白くなったパワーリフティングに乗り換えたというような答が帰ってきました。
僕も元々空手をやっていましたが、空手より筋トレの方が面白いと感じたことはなかったです。
僕にとって、空手は何よりも面白いものでした。
空手をやめたからパワーリフティングを始めたんです。
でも、若いお兄さんでも、野球よりパワーリフティングが面白くて乗り換えるということがあるんですね。
きっとみんなそうなんでしょう。
最初からパワーリフティングをしたくて始める人よりも、他のスポーツをやっていたけど、筋トレが面白くなってパワーリフティングに乗り換えるという感じなんでしょうね。
若い人が野球やサッカーよりもパワーリフティングを選ぶというのは、どうしても僕の感覚ではしっくりこないですが、今は昔と比べると圧倒的にフィットネスがブームになっているので、今の若者は昔の若者より筋トレに興味を持ちやすい世の中なのかも知れません。
もしかしたら今後もどんどん若いパワーリフターが増えてくるのかも知れません。
5 人に誘われたから
パワーリフティングを始める動機は、他のスポーツからの転向が多いと思いますが、試合に出るとなるとやっぱり誰かに誘われないとなかなか難しいんじゃないかと思います。僕の場合は2004年に成田市体育館のトレーニングルームで、老師から誘われたのが始まりでした。
老師の誘いのおかげで、2005年の12月のベンチプレス千葉県大会に出場したのでした。
試合に出るためには、まず選手登録をします。それから試合の申し込みをします。
この選手登録がちょっと心理的に抵抗がありますよね。
僕はフルマラソンを3回完走したことがありますが、フルマラソンの申し込みは受付をしている市民体育館の窓口でお金を払うだけでした。
僕が完走したのは佐倉健康朝日マラソンが1回と、東京荒川マラソンが2回でした。
申し込み用紙に記入して窓口でお金を払うだけなので、とても簡単でした。
でもパワーリフティングには選手登録が必要です。
この辺が試合に出るハードルを高くしているような気がします。
道場に通って空手を習っていれば、ほぼ自動的に試合に出ることになると思いますが、パワーリフティングの場合は自ら選手登録をして、さらに試合の申し込みをしなければいけません。しかも選手登録は毎年しなければいけません。
なので、周りに試合に出ている人がいないと、なかなか自分が出ようという気にはならないと思います。
試合会場にいる若いお兄さん(たまにお姉さん)も誰かに誘われて試合に出るようになったのでしょうか。
6 ジェネレーションギャップ
今回は最近の若者は情報にも知識にも恵まれていて羨ましいという話を書いてきましたが、それを言ったらトレーニングの環境だけでなく、何もかもそうですね。
僕が若かった頃は、インターネットなんかなかったです。当然YouTubeもありませんでした。電子メールもなかったし、ツイッターやFacebookもありませんでした。当然、GoogleやAmazonもありませんでした。
それどころか携帯電話もありませんでした。スマートフォンでなくて、ガラケーすらなかったです。
テレビは地上波だけで、BS放送なんてなかったです。
もっと言うと、高校生の頃までは家にエアコンもなかったです。
夏は扇風機、冬は石油ストーブとコタツで凌いでいました。
電車に乗るにもSuicaなんてないので、毎回紙の切符を買っていました。
自動改札もまだ珍しかったです。
僕が若かった頃は、それが時代の最先端で、恵まれた時代に生まれてよかったと思っていましたが、今から比べたら当時は本当に不便、不自由な時代だったということになってしまいます。
では、これから10年後、20年後はどんな世の中になっているんでしょうか。
今の若い人々は、今が時代の最先端と思っているはずですが、20年後に振り返ると、とても不便で不自由な時代だったという事になるんでしょう。
一体どんなふうに世の中が進化しているんでしょうか。
楽しみでもありますが、世の中が便利になりすぎて怖い感じもします。
以上、昔の若者のぼやきでした。
ありがとうございました。