2016年12月 パワーリフティング千葉県大会に初出場

パワーリフティング

こんにちは。鹿野一郎です。
平成28年(2016年)12月4日、初めてパワーリフティングの試合に出ました。
千葉県大会です。49歳でした。
結婚前は空手をしていて、何度も試合に出ましたが、空手は結婚前にやめました。
子供が小学校に上がったため、何か試合に出たいと思い、パワーリフティングを始めることにしたんです。
今回はこの話をしたいと思います。

1 申し込みと試合結果

パワーリフティングの千葉県大会は、特別な出場資格はなく、選手登録さえすれば、誰でも出場できます。
空手の試合の場合は、道場に通っていないと試合に出られないと思いますが、パワーリフティングにはそもそも道場がないので、いきなり個人単位で出場するんです。
県大会というと、市町村大会で優勝しないと出場できないのではないかと思う人もいるかも知れませんが、パワーリフティングは競技人口が少ないので、市町村大会は存在しません。一番小さい大会が都道府県大会なんです。
友達の奥さんに、高校時代ボート部だった方がいますが、ボート部はかなり数が少ないので、試合はいきなり関東大会だったそうです。

選手登録の仕方は、パワーリフティング協会のホームページから用紙をダウンロードして、必要事項を記入し、登録費用と共に現金書留で郵送するだけです。
選手登録という言葉を聞くと、まるで経験のない僕は尻込みしてしまいましたが、選手登録をするための特別な筋力の条件などはなく、ただ申し込めば良いんです。
だから、誰でも登録できるんですよ。
選手登録は毎年しなければなりません。
毎年春先に登録をします。
こうすることによって、競技人口が正確にわかるようです。
いつのことか忘れましたが、千葉県の競技人口は275人と聞いた事があります。
とても少ないですね。もちろんこれは年によって増減します。

選手登録をしたら、今度は同じようにして試合の申し込み用紙と代金を送れば試合に出られます。
パワーリフティングの試合は今回が初めてでしたが、実はベンチプレスの千葉県大会は、一度だけ出たことがありました。
この時から11年前に、当時38歳で出場しました。11年前は82.5kg級に出場し、記録は110kgでビリでした。

今回は74kg級に出場して、結果は以下のようでした。
スクワットは第一試技130kg成功、第二試技140kg失敗、第三試技140kg失敗で、結果は130kg。
ベンチプレスは第一試技100kg失敗、第二試技100kg成功、第三試技105kg成功で、結果は105kg。
デッドリフトは第一試技140kg成功、第二試技150kg成功、第三試技160kg成功で、結果は160kg。
最終結果はトータルは395kgでした。
確か、74kg級ではビリから2番目だったと思います。
目標には届きませんでしたが、公式記録が残った事が嬉しかったです。
これからはこの記録を更新していく事が目標になりました。
また、デッドリフトで160kgを引き切った時は、天にも昇る気分でした。
デッドリフトの160kgは普段のトレーニングでもちゃんと引けた事がなかったんですが、その重さを試合で引けたので、本当にうれしかったです。

2 パワーリフティングのルール

パワーリフティングのルールを簡単に説明しましょう。
スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの三種目で合計重量を競いますが、ただ挙げれば良いのではなく、主審と二人の副審のうち二人が成功と認めないといけません。

スクワットは、バーベルを担いで、「スクワット」の合図の後にしゃがみ、立ち上がります。
そして「ラック」の合図がかかってからバーベルをラックに戻します。
しゃがむ深さは、股関節が膝関節より下になり、太ももが明確に下り勾配になるまでです。

ベンチプレスは、バーベルをラックから外した後、「スタート」の合図で、バーベルシャフトが胸に触れるまで下ろし、静止させます。
「プレス」の合図がかかったら、バーベルを押し上げます。そして「ラック」の合図がかかってからラックに戻します。
ベンチから尻が離れたり、かかとが床から離れたりしたら失敗になります。
また、挙げている時にシャフトがラックに当たってしまったり、バーベルが傾いて挙がる場合も失敗になります。

デッドリフトは持ち上げる前の合図はありません。
バーベルを引き切って静止すると、「ダウン」の合図がかかるので、それからバーベルをゆっくりおろします。

主審の合図は、スクワットが「スクワット」「ラック」の2つで、ベンチプレスは「スタート」「プレス」「ラック」の3つ、デッドリフトは「ダウン」だけです。
主審の合図の前に次の動作に入ってしまったら失敗になります。
また、コールがかかってから60秒以内に試技を始めないと失敗になります。

3 当日の日記から

当時の日記から少し引用します。


(今日の)結果には満足している。今回は初めてなのでこんなもんだろう。次はもっと行けると思う。
今回はジャパンクラシックマスターズM1クラス(40歳台)の基準記録415kgを超える事が目標だった。
なので目標は達成できなかったが、初めてだったために力が出し切れなかった部分も大きかったので、次は必ず415kgを超えられるだろうという感触がある。
しかし、来年は僕は50歳になるので、マスターズの出場クラスがM1からM2に変更になる。
M2クラス(50歳台)の基準記録は370kgと低く,すでにクリアしているので目標にはならない。
それでもジャパンクラシックマスターズには出たい。

9時から検量が始まった。僕の体重は73.1kgだった。クリアできて良かった。
この1週間、昼ご飯と晩ご飯は鶏の胸肉だけで、ブランパンも食べていなかったのでかなりきつかったが、クリアできて良かった。
検量の後はセブンイレブンで買った朝食を食べた。
おにぎり1個、あんまんと肉まんを1つずつ、ゆで卵2個、フライドチキンを3枚だ。
珈琲は自宅で作って水筒に入れて持って行った。

成田市体育館で以前一緒だった(老師)にはちゃんと挨拶をした。
食事の後は、スクワット、ベンチプレスのラックの高さの測定をして記録用紙に記入した。
それからコスチュームチェックを受けたのだが、ここで初回ゆえの無知が露呈した。

コスチュームは着たまま検査を受けるのではなく、脱いだ状態で手渡して検査を受けるのだった。
僕はすべて着て行ったので、慌てて客席に戻って中身を脱いでジャージだけ着直して再び列に並んだ。
ジャージの下はパンツだけで、靴下も履いていなかった。
提出したのはランニングシャツ、Tシャツ、靴下、靴、半ズボン(海パン)、トレーニングベルトだ。
このうちランニングシャツは不要と言われた。そしてTシャツが必要だと言われた。
むしろ僕はTシャツの方が不要だと思っていた。
帰りの服として持って行ったのだが、結局競技はすべてTシャツを着てする事になった。
デッドリフトは釣りパンだけで競技しても良いが、ベンチプレスとスクワットは釣りパンの下にTシャツを着なければならないルールなのだそうだ。

そしてトレーニングベルトは失格となった。
腰の部分に出っ張りがあって、厚さが均等でないため競技では使えないというのだ。
困ってしまったが、結局スタッフの1人がベルトを貸してくれる事になって難を逃れた。
そのベルトは締めつけが極めて強く、僕がいつも使っているベルトとは別物だった。

靴下についても少し言われた。長さが足りないのではないかという事だ。
デッドリフトをする時にシャフトにすねが触れないように、ハイソックスを履かなければならないルールになっているのだが、僕は知らなかった。
が、この靴下は伸ばせばすねまで届くのだと説明したら認めてくれた。
試技のときも何も言われなかった。
しかし、次の試合までにはハイソックスを用意した方が良い。
パワーベルトは絶対に買わなければならない。
今日借りたものと同じものを買おうと思うのでメーカーを聞いてきたが,インザーというメーカーのものだそうだ。
値段は2万円ぐらいするそうだ。

このようにして、試合会場に着いてから、基本的なルールを何もわかっていない事に気づきました。
本当に何もかも手探りの試合でした。

デッドリフト以外ではTシャツを着なければいけないというのは知らなかったんですが、おそらく理由は脇毛を見せないためだと思っています。
僕も含めて、おっさんがたくさん出るので、脇毛もうもうだと観客が辛いので、隠すためだと思っています(笑)。
デッドリフトの時は、脇をしめたまま開かないので、Tシャツを着なくても良いんだと思います。

でも、スネが隠れるハイソックスを履かなければならないのは、スネ毛を隠すためではありません。
バーベルを引くときに、スネにこすって出血する事があるんですが、感染症対策のためにハイソックスを履いて、スネとバーベルシャフトが触れないようにするんです。
バーベルには、ローレットと呼ばれる細かい凹凸がつけてあります。
要するに滑り止めなんですが、これがスネにこすると擦り傷ができて出血する事があります。
何人もそうやって出血をすると、傷口から感染症が広がる可能性があるので、ハイソックスで隠すことになっています。
これは新型コロナウィルスとは関係ありません。それ以前からそうでした。

4 開会式とルール説明

服装検査が終ると10時から開会式が始まりました。
今回は愛媛国体の予選を兼ねているせいで人数も多く、レベルも高い大会になったそうです。
そして去年の国体ではパワーリフティングの都道府県別団体戦で千葉県が優勝しているそうです。
千葉県のレベルは高く,競技者の数も多いと言います。

この話をしたのは事務局長の方でしたが、この方には11年前のベンチプレス千葉県大会でも一度会っています。
向こうは僕の事は覚えていませんでしたが、僕は彼の顔を見ただけで分かりました。
11年前に1人でベンチプレス千葉県大会に出たとき、この方は「あなたが鹿野さんですか。(老師)さんから聞いています。」と言っていろいろ教えてくれたんです。
また来て下さいと言われましたが、また来るまでに11年もかかってしまいました。

開会式が終った後は、10時半からルールの説明がありました。
慣れている人々は当然聞かないんですが、初めての人は全員聞きに集まりました。
合図のタイミングと、失格となる例を詳しく教えてくれました。

説明が終るともう11時になり、競技が始まりました。
最初にAグループがスクワットの試技を3回やります。その間にBグループの僕たちはアップ場でアップをしていました。
アップといっても僕はスクワットの100kgを1回と120kgを1回挙げただけで終りにしました。
この頃はまだわかっていなくて、アップを軽んじていたんです。

アップをしている頃に妻と娘が会場に現れました。
この日、僕は車で行きましたが、競技が始まるまで随分時間があったので、妻と娘は後から電車とバスで応援に来てくれました。

5 第一種目、スクワット

二人にスリッパを渡して少し会話をしていると、いよいよBグループの番が来ました。
Aグループは女子全員(3人)と男子59kg級(4、5人程度)、66kg級6人で、Bグループは男子74kg級の14人でした。
申告した重量が軽い人から順にやるんですが、僕の番は2番目でした。

スクワットの第一試技は130kg。
合図に合わせてきっちり決めて、成功しました。
でも、白2つと赤1つでした。
あれでもまだしゃがみ方が足りないという事なのでしょうか。
後の人になるほど重量が重くなって行き、10番目以降の人になるといきなり190kg程度から始めていました。
そして最後の渋谷優輝選手(スーパースター)はいきなり220kgを成功させました。
会場からは「おお」という声が漏れていました。僕の口からもです。

第二試技は140kgでやりましたが、天台スポーツセンターで挙げたときよりも軽く感じました。
楽々こなして、大丈夫だろうと思いましたが、白1つに赤2つで失敗となってしまいました。
重量はまるっきり問題なかったんですが、しゃがみが浅いそうです。
それで3回目の試技までに間に、足の幅や向きなどを検討してもっとも深くしゃがめる立ち方を検討しました。

第三試技、再び140kgでやって、2回目よりも明らかに深くしゃがみ込みました。
しゃがんだ時は完全に「もらった!」と思いましたが、今度は立ち上がる事が出来なくなってしまいました。
結局失敗です。
スクワットの公式記録は130kgにまりました。
何とも情けない気分でした。

目標はトータルで415kg以上を挙げることでした。
これはジャパンクラシックマスターズのマスターズ1(40歳代)の標準記録で、これをクリアすれば全国大会に出られるんです。
この時の僕は全国大会の出場権を獲得することを目標にしていました。
スクワット150kg、ベンチプレス110kg、デッドリフト160kgで420kgぐらいを目指していました。
でもベンチプレスでいきなり目標に対してマイナス20kgです。
何とも情けない気分でした。

6 第二種目、ベンチプレス

ベンチプレスが始まるまでは妻や娘と一緒に正面のパイプ椅子に座って他の選手の試技を見ていました。
審判のすぐ後なので特等席です。
それから第2種目のベンチプレスが始まりました。

ベンチプレスの前には僕はアップをしませんでした。
第一試技は100kgで申告しましたが、100kgならばアップ無しでも必ず挙がるからです。
センター補助に入ってもらって、ラックからバーベルを外すのを手伝ってもらいました。
でも、補助が外れた後、いつまで経ってもスタートの合図がかかりませんでした。
そして「リプレイス」という合図がかかりました。直れという意味です。

バーベルをラックに戻すと主審から「かかとが浮いています」と指摘されました。
再び試技に入りましたが、また「リプレイス」がかかり、かかとが浮いていると指摘されました。
これには正直動転してしまいました。
バーベルを挙げるときに最後の踏ん張りでかかとが浮いてしまう事はありますが、まだバーベルを下ろさないうちから、かかとが浮いていると言われるなど夢にも思っていなかったからです。
名前を呼ばれてから60秒以内に試技を始めなければ失格になるんですが、すでに40秒を過ぎていました。
3回目はなんとか試技に入る事が出来たましたが、精神的に追いつめられていたため、バーベルを挙げるときにシャフトを左のラックにこすってしまいました。
これで失敗になりました。

あまりにも予想外の事で何が何だかわからなくなっていました。
調度休憩に入っていた審判長が僕のその姿を見ていて、僕の腕を引き「おい、お前こっちに来い!」と言って僕を連れて行きました。
空いているベンチを指さして「そこに寝ろ!」と言われました。
そこでブリッジを組んでみると次のように言われました。
「お前は足が開き過ぎなんだ。なのに膝を締めようとするから、かかとの外側が浮くんだ。ブリッジの組み方をもっと考えろ。」
そして次は必ず成功させるように言われました。

第二試技。
1回目に100kgを失敗していたし、胸で止める時間が思っていたより長くて100kgを重く感じたので、2回目も100kgで臨みました。
今度は足を閉じてブリッジはほとんど組まない状態で挑戦しました。
そして白3つで成功しました。

第三試技。
110kgに挑戦するのはちょっと自信がなくなっていたので、105kgで臨む事にして、成功しました。
白3つでした。
ベンチプレスの今回の記録は105kgということになり、11年前の110kgを下回ってしまいました。
でも11年前の体重が81.7kgで、今日の体重が73.2kgなんだから仕方ないでしょう。

もうジャパンクラシックマスターズの415kgなんて不可能な話です。
スクワットとベンチプレスで合計235kgなので、デッドリフトで180kgを引かない限り、出場権獲得はありません。
当時の僕にそんな力はありませんでした。
なのに幼い娘が「パパ、全国大会に行ける?全国大会に行ける?」と何度も質問するのでまわりの手前恥ずかしくて仕方ありませんでした。

ベンチプレスが終ったのは2時頃だったでしょうか。妻はもう完全に飽きていました。
バーベルを頭の上まで挙げるんじゃないのかと言われましたが、どうやらウエイトリフティングと勘違いしているようです。
パワーリフティングとウエイトリフティングの違いはこれまでに何度も説明してきましたが、きっと聞いていなかったんでしょう( ´θ`)。

それでも、娘は不思議なぐらいにずっと競技を見ていました。
水族館で魚を見るよりも娘にとってはパワーリフティングの試合の方が楽しいのかも知れないです。

7 第三種目 デッドリフト

いよいよ最後のデッドリフトが始まりました。
これが一番心配な種目でした。
細かいフォームの事は詳しく知らないので、挙げても失格になるのではないかという思いがずっとあったんです。
また、デッドリフトはちゃんとアップをやっておかないと本番で挙げられない事もわかっていました。
なのでアップはちゃんとやりました。
60kgで5回,100kgで5回,120kgを4回あげて試技に臨みました。

第一試技は140kgです。
バーベルは思っていたよりも軽く、簡単に上がりました。そして白3つで成功です。

第二試技は150kgに挑戦しましたが、これも簡単に上がって成功しました。白3つです。

なので第三試技は160kgに挑戦しました。
天台スポーツセンターでの僕の自己ベストタイです。
天台で160kgを挙げたときは右手が開いてしまっていたので、試技だったら失格だったはずだ。
160kgはさすがに重かったですが、それでもバーベルはしっかりと引けました。
白3つで成功です。これは本当に嬉しかったです。

プライベートでの自己ベストと同じ記録を本番で成功させたのは、うれしかったです。
とても気分が高揚しました。
ベンチプレスは普段は110kgが簡単に挙がりますが、本番では挑戦すら出来ませんでした。
スクワットも普段は140kgが挙がり、本番では150kgに挑戦したかったんですが、出来ませんでした。
でもデッドリフトだけは満足の結果でした。終わり良ければすべて良しで、とても良い気分で終る事が出来ました。
僕の公式記録はスクワット130kg、ベンチプレス105kg、デッドリフト160kgで合計395kgになりました。
目標に20kg届きませんでしたが、実に清々しい気分でした。

8 試合後

試合の後は、記録賞ももらいました。
小学校などで貰う、賞状と同じ大きさです。
やはり公式記録が残ると、気持ちの持ちようが変わります。
それからは記録を塗り替えていく事が目標になりました。

この大会で、74kg級で優勝したのは、スーパースターの渋谷選手でした。
彼の記録はスクワット220kg、ベンチプレス130kg、デッドリフト220kgでトータル570kgでした。
物凄い記録だと思いましたが、本人は全く納得していなかったようです。
後日、ツイッターで、試合結果がボロボロだったとつぶやいていました。
あんな結果で予選通過なんて大会関係者の方々に申し訳ないと書かれていました。
別世界すぎて理解できない話でしたが、あの試合が予選でしかなかったというのは理解できました。
まあ、国体に出る選手からしたらそうですよね。

とにかく、このようにして僕の初めてのパワーリフティングの試合は終わりました。
とても楽しかったです。

ありがとうございました。

この日、僕が海パンを履いて出場した理由に興味のある方はこちらの投稿を参照して下さい。


僕のバーベル その4(トレーニングベルトを購入)

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