予備校講師は短命な人が多いと思います その2 

カッパの人形 その他

こんにちは、鹿野一郎です。
僕は予備校講師をしています。
職場の同僚で、若くして亡くなる人が多いなと常々思っていたので、去年(2021年)の11月26日に「予備校講師は、短命な人が多いと思います。」という投稿をしました。
今回はそれの続編になります。

内部リンク「予備校講師は、短命な人が多いと思います。

前回の投稿をした時は、名前も顔も知らない先生が41歳という若さで亡くなったという知らせを受けて書いたものでした。
予備校講師は短命な人が多いと思います。
他の仕事をした事がないので比較のしようはないんですが、普通の会社でも30代、40代、50代の人がころっと死んでしまうもんなんでしょうか?
前回の投稿では予備校講師になってから30年で同僚が10人亡くなったと書きましたが、良く思い出してみたら11人でした。
そして、今月、12人目の訃報を聞く事になってしまいました。
元気だった先生が、突然です。

ガンプ先生の訃報

今回お亡くなりになった先生は、ガンプ先生とさせて頂きます。
何故このような名前にしたのかは後で話します。
ガンプ先生は僕より5歳年上で、59歳でした。
いつもニコニコしていて、話の面白い先生でした。
一度一緒に飲みに行った事もありました。

冬期講習の時、ガンプ先生がずっと代講を出しているという話を聞きました。
そして年が明けてしばらくすると、先輩の先生から訃報が届きました。
ガンプ先生が亡くなったという知らせでした。
僕はそのメールを見た時、思わず「えっ!!」と大きな声を出してしまいました。
文章を見て声をあげるのは、一昨年(2020年)の女優の竹内結子さんの自殺のニュースを読んだ時以来でした。
信じられませんでした。

その後、職場に行っても何となく他の先生とその話はしにくくて、だんまりを続けていましたが、昨日、ある先生(ミルキー先生とします)に話を振られて核心を突かれた気がしました。
今回の訃報は本当に信じられないし、信じたくない思いが強かったんですが、そのミルキー先生によれば、元気だった先生が、「代講を出しました。」と聞かされて、一週間後に「お亡くなりになりました。」じゃあ、やってられないですよ、という事でした。

そうです。
まさにそれが、もやもやの原因でした。
もっと高齢だったとか、持病を抱えていたとか、入退院や手術を繰り返していたというならわかりますが、いつもニコニコして馬鹿話に花を咲かせていた先生が代講を出したと思ったら、「お亡くなりになりました。」というのでは、気持ちがついて行かないです。
葬儀は家族葬で行われ、予備校の教務も亡くなった理由は知らない様子でした。

昨日、職場で授業後にノッポ先生と話していたら、詳しい状況が分かって来ました。

僕は最近は、ガンプ先生とは学期中は会う事がなく、夏期講習、冬期講習でしか顔を合わせていませんでした。
今回も冬期講習で会うはずだったんですが、5日間すべて代講を出されたので、会う機会はありませんでした。
なのでガンプ先生に最後に会ったのは夏期講習の時でした。
その時もニコニコしていました。

ノッポ先生から聞いた話は以下の通りです。
12月23日の授業前、ガンプ先生はぎりぎりの時間になって真っ白な顔で講師室に現れたそうです。
周りの先生方は、ガンプ先生の出勤が遅いので、遅刻ではないか?と心配していたそうですが、その真っ白な顔を見てもっと心配になったそうです。
ガンプ先生は、「ちょっと体がきつくて、休み休みここまで来たら、こんなにぎりぎりになっちゃった。」と話していたそうです。
みんなかなり心配したそうですが、何とか授業をしたそうです。
そして、翌日12月24日はタームの最終日でしたが、代講が出たそうです。
ノッポ先生はそれを知って安心したと言っていました。
翌日12月25日は休みなので、ガンプ先生も26日からならまた教壇に立てるんじゃないかと思ったそうです。

そして26日。
ガンプ先生は無断欠勤をしたそうです。
僕はその場にいませんでしたが、校舎は騒然となったはずです。
休講になったらなんとしても補講をしなければなりません。
でももう年末で、補講を組める日なんてないですよ。
予備校側がその穴をどうやって処理したのかは僕は知らないですが、とにかくガンプ先生は校舎に来ませんでした。
その後、連絡がついたそうですが、急に具合が悪くなって、救急車を呼んだそうです。
しばらく授業は無理そうだ、という話になり、それっきり携帯電話に電話しても通じなくなったそうです。

ガンプ先生

ガンプ先生には二人のお子さんがいたと思います。
2011年3月11日の東日本大震災では、僕の家は結構物が落ちて散らかってしまいましたが、ガンプ先生の家では、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)が倒れただけで、他には何も被害がなかったといいます。
ガンプ先生の家の方が僕の家より震源地に近いんですが、地盤がきっと強かったんでしょう。

ガンプ先生は週休3日のシフトで働いていました。
僕は当時週休1日から2日に増やしたばかりで、喜んでいましたが、週休3日のガンプ先生は、これでもきついと言っていました。
休みのうち1日は家族サービスに使い、1日は原稿仕事に使うので、本当に自分のために使える休みは1日しかないと言っていました。
そんなもんかなあと思いながら聞いていました。
週休3日にはあこがれますが、僕はまだそこまでたどり着けていません。
春からも週休2日で働きます。

ガンプ先生はとてもビートルズが好きな先生でした。
おそらく全部歌えるぐらい良く知っていたと思います。
2016年に歌手のボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞した時は、いろいろな話を聞かせてくれました。

去年の夏にガンプ先生と一緒に仕事をしていた時、一番驚いたのは、洗面台のプラスチックのコップを洗わずに使っていた事です。
うがいをするためのコップなんですが、多くの人が利用するものなので、使うなら普通は使用前後に軽く洗うと思います。
そして、僕も含めて大部分の人はプラスチックのコップは使わず、紙コップを使います。
去年の夏といえば、新型コロナウィルスのデルタ株が猛威を振るっていた時で、東京で毎日5000人の新規感染者が確認され、病院は医療崩壊の状態にあり、救急車を呼んでも来ない、来ても運ぶ病院がないという状況でした。

その状況で、洗面台のプラスチックのコップを洗わずに使うのは、本当に信じられなかったです。
感染が怖くないんですか?と尋ねると、平然と、「全然」といいます。
東京の人口を考えたら1日5000人なんていうのは確率的にはほぼゼロだ、そんな物にいちいちビクビクしていたら人生つまんないじゃん、と言っていました。
感染したらどうするんですか?と尋ねたら、「その時はその時だよ。」という感じの事を言っていました。
遠い昔の事のように感じます。

印旛沼の奥に沈む夕日

続く訃報

ノッポ先生とそういう思い出話をしていたら、驚く事を聞かされました。
僕は会った事も見た事も、聞いた事もない人達でしたが、さらに2人の先生が亡くなったというんです。
1人は広島から東京まで授業をしに来ている先生で、もう1人は名古屋から来ている先生だそうです。
年齢は、どっちがどっちだったか忘れましたが、50代前半と40代前半だと聞きました。
しかも、どっちの人かわかりませんが、元日に亡くなられたそうです。
何でこんなことが起こるんでしょうか?

ノッポ先生が言うには、1人の先生は仕事でかなりのストレスを抱えていたように見えたそうです。
予備校講師には向き、不向きは確かにあると思います。
僕は25歳で予備校講師になりましたが、最初に勤めた予備校は、とても厳しい予備校で、生き残るのが大変でした。
アンケートの数値が悪いと、直ぐにクビになります。
僕が知る限り、もっとも早くクビになった先生は、着任から4日でクビになりました。
それは極端な例ですが、1年持たずに年度の途中でクビになる人は珍しくありませんでした。
なので、僕も1年目は神経性円形脱毛症になり、頭に500円玉ぐらいのハゲが出来ました。
学生時代の友達には、予備校講師になってから急にお酒をたくさん飲むようになったとも言われました。
確かに予備校講師というのはストレスのある仕事だと思いますが、今の予備校は、そんなに厳しくなくて、余程の大失態をやらかさない限り、クビになる事はないと思っています。
少なくとも、アンケートが悪いとか、生徒が集まらないという理由でクビになることはないと思います。
なので、個人的にはストレスフリーの職場だと思っています。

ノッポ先生にもそれを話しましたが、でも今の予備校の環境しか知らない人にとっては、これでもストレスが溜まるんじゃないかと話していました。
ノッポ先生とは前の予備校でも一緒でした。
もう古い付き合いです。
彼もあの厳しい生存競争を生き残って来た人なんです。

妻の言葉

今日、妻と買い物に行く時に、車の中でこの話をしました。
妻が一番最初に言ったのは、

マスクをしていても顔が真っ白と分かるっていう事は、よっぽどだったんだね。

という言葉でした。
しばらくいろいろ話していたら、妻も不安を感じたようで、「何であなたの職場はそんなに若い人の突然死が多いの?」と聞かれました。
前から職場で若い人が亡くなる事はありましたが、今回はちょっと多過ぎます。
そして妻は、次のように言いました。

もしかしたらコロナだったんじゃないの?または、ワクチンの副作用とか?

ワクチンの事はわからないので、ここでは書けませんが、コロナだったらと考えると恐ろしくなります。

これまでの話では、コロナで命を落とす人は以下のような特徴のある人だったと思います。

(1)高齢者(全体の8割ぐらい?)
(2)基礎疾患のある人
(3)男性(女性の2倍ぐらい)
(4)喫煙歴のある人
(5)血液型はA型(他の血液型の2倍ぐらい)
(6)体重の多過ぎる人

これはアルファ株の頃に言われていた事で、オミクロン株では違うのかも知れないですが、こう考えてみると、ガンプ先生は(3)と(4)には当てはまります。おそらく(2)にも当てはまると思います。(1)は違いますが、(5)はもしかしたら当てはまっているかも知れないです。
(6)は、以前は当てはまっていましたが、ダイエットに成功して、当てはまらなくなっていました。

ちなみの僕は(3)しか当てはまりませんが、妻からはお酒の飲み過ぎだと言われているので、少し考えた方が良いかも知れないです。

予備校が先か、自分が先か

予備校業界は少子化と映像授業の台頭で、今壊滅的な打撃を受けています。
誰もが長くは持たないと思っています。
予備校が潰れるのが先か、自分がクビになるのが先か、という具合に考えている人も多いと思います。
でも、今の状況では、自分がクビになるより、自分が永眠する可能性の方が高いように思えてきてしまいます。
2021年度は少なくとも4人の先生が他界されましたが、クビになった先生は果たして4人もいたんでしょうか?
予備校が潰れるのが先か、自分が死ぬのが先か、というのはあまりにも恐ろしい話です。

僕は80歳になっても、僕をパワーリフティングの世界に導いてくれた老師のように試合に出ていたいです。
そしてマスターズ4の千葉県記録を塗り変えたいです。
孫の顔も見たいし、この先にもいろいろ楽しみが待っていると思っています。
なので、どうか健康で長生きしたいです。

今回のオミクロン株は、デルタ株に比べると重症化の危険性は低いと聞いています。
なので、予備校で亡くなった方々は、コロナとは関係ないと思いたいです。

僕は幸い、職場ではまったく責任のある立場ではないので、ただ授業をしていれば良いです。
たまに教材の仕事もしますが、仕事のメインは授業です。
授業で生徒の支持を受けるために無理して派手なパフォーマンスをする先生もいますが、僕は地のままで普通に授業をしています。
若い時は僕も上を目指して授業に全勢力を注ぎ込んで来ましたが、もう若くないし、今はそういう時代でもないし、バーベルを持ち上げている方が楽しいです。

今年は去年より良い年になると、希望を持ちたいですね。
もう同僚の訃報は聞きたくないです。

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